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日本は子育てママが正社員に戻りにくい国

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日経DUAL
統計データを使って、子育てや教育にまつわる「共働きする上での疑問」に答えます。今回のテーマは「女性の社会進出度」です。日本でも女性の社会進出は随分進んでいますが、国際比較するとどうなのでしょうか。

こんにちは。武蔵野大学講師の舞田敏彦です。人間は社会の中で何らかの地位を占め、それに応じた役割を遂行していますが、地位の内訳が最も多様であるのは子育て期の女性であると思われます。10歳の子どもを取り出したら全員が小学生であり、私のような30代の男性は大半が正社員ですが、同年代の女性はそうではありません。正社員、パートタイム就業、専業主婦というように、パッカリと分かれています。

これは日本の現状ですが、他の社会はどうなのでしょう。今回は、この内訳の国際比較をしてみようと思います。それは、女性の社会進出の程度を国ごとに明らかにすることと同義です。わが国も一昔前に比べたら女性の社会進出が進んだといわれますが、世界の中でどのあたりの位置にあるのでしょうか。このようなデータは政府の白書等に載っていないようなので、私が試作したデータをご覧に入れようと思います。

スウェーデンの子育て女性は3分の2がフルタイム就業者

私は、2010~14年に実施された「世界価値観調査」のデータを分析し、子どもがいる30~40代女性のすがたを国別に明らかにしました。子育て中の女性のすがたが、国によってどう違うかです。手始めに、日本と北欧のスウェーデンを比べてみましょう。サンプル数は前者が305人、後者が132人です。有業者と無業者に分けて、その下にある下位カテゴリーの比重を四角形の面積で表してみました。

両国とも無業者より有業者が多くなっていますが、スウェーデンは後者が圧倒的に多く、そのほとんどがフルタイム就業者です。全体に占める比率は65.9%であり、子育て中の女性の3人に2人がフルタイム就業者であることが分かります。専業主婦(赤色)は、ごくわずかしかいません。無業者中の「その他」とは、職探しをしている失業者や学生などです。生涯学習先進国のスウェーデンでは、この年代でも学校に通って勉強している人が結構います。

日本はというと、フルタイム就業、パートタイム就業、専業主婦が拮抗しており、数の上では専業主婦が最も多くなっています(33.8%)。子育て中のママのフルタイム就業率は、スウェーデンの半分以下です。フルタイム就業者と専業主婦の比率から、子どもがいる女性の社会進出の進み具合が、両国ではかなり違っていることが分かります。

日本の女性進出度はまだ「第2段階」

以上は対照的な2国の比較ですが、世界は広し。より多くの国を含めた全体構造の中に、わが国を位置付けてみましょう。横軸に専業主婦率、縦軸にフルタイム就業者率をとった座標上に、57の社会をプロットした図をつくってみました。先ほどと同じく、子どもがいる30~40代女性のデータです。

左上ほど専業主婦が少なくフルタイム就業が多い、つまり女性の社会進出が進んだ国であり、右下はその反対です。そのレベルは、おおよそ(1)~(4)の4段階に分けられるかと思います。

最も高い(4)の群には、先ほどみたスウェーデンのほか、ロシアなどの旧共産圏の社会が多く含まれています。国民皆労働の伝統があるこれらの国々では、男女問わず働くべし、という考えが強いのでしょう。対極の(1)群は、専業主婦が大半の社会ですが、その全てが、イスラム教が強い国々です。女性はあまり外に出ない、という文化的な要因によると思われます。

日本はというと、お隣の韓国と並んでレベル(2)というところです。斜線は均等線であり、これよりも上は「専業主婦<フルタイム就業」の社会なのですが、日本はまだこのラインを超えていません。しかし、トレンドとしては徐々に左上に動いてきており、東京オリンピックが開催される2020年ころには、米独の位置にかなり接近するのではないでしょうか(たぶん)。

子どもを産んでも、専業主婦が増えない国もある

国際的にみて、わが国の女性の社会進出の程度がどれほどかが分かりました。世界全体ではちょうど中ほどですが、先進国の中では下位の部類です。なぜそうなのかについては、取り立てて述べるまでもないでしょう。ただ一つ、データを添えて示しておきたいのは、日本では子どもができることで、女性のフルタイム就業のチャンスが大きく減ることです。図3は、子どもがいるかどうかで、30~40代女性のすがたがどう変わるかを視覚化したものです。

日本では、子どもができるとフルタイム就業者の割合がガクンと減り、代わって専業主婦やパートタイム就業者が増えます。われわれの感覚からすれば「そんなものだろう」ですが、北欧のスウェーデンではこのような変化はほとんどありません。

幼子を抱える女性がフルタイムで働くには、子どもを預ける場所が不可欠ですが、核家族化が進んだ現在では、主な受け皿は保育所となります。しかし昨今のわが国では、その数が決定的に不足していることは、よく知られていること。入りたくても入れない「待機児童」の問題が深刻化しています。

それに対してスウェーデンでは、保育所入所希望者に席を用意するのは自治体の法的な義務であり、待機児童はほぼゼロなのだそうです(高見幸子「待機児童はほぼゼロ、スウェーデンの保育園の秘密」日本経済新聞、2013年11月22日)。上図の模様には、こうした条件の違いが反映されているといえるでしょう。女性の社会進出を促すにあたって、保育所の整備が重要であることが改めて分かります。

非正規雇用の増加が女性進出の原動力か

わが国では1985年に男女雇用機会均等法、99年に男女共同参画社会基本法が制定され、今世紀以降、女性の社会進出を促す取り組みがいろいろ行われています。その効果はあり、働く女性(ママ)は一昔前よりも増えてきています。女性の有業率のM字の底も浅くなっています。

しかし、フルタイムかパートかという「働き方」の中身をみると、問題無しとはできません。図4は、各年齢の女性人口に占める、有業者と正社員の割合のグラフです。

有業者全体の比率は結婚・出産期に下がるものの、その後は回復しますが、正社員率のほうは右下がりです。一度辞めたらカムバック困難な「片道切符型」になっています。白書等で「女性有業率のM字の底が浅くなった」と誇らしげに言われますが、それは非正規雇用の増加によってもたらされたともいえます。意地の悪い言い方をすれば、わが国の女性の社会進出の進展は「非正規依存型」である、ということです。

働き方はいろいろあり、フルタイムや正社員がよいなどと断言はできませんが、それに対する需要は、個人・社会双方の側から高まってくるのではないでしょうか。自分のスキルを存分に生かしたいという女性は増えてくるでしょうし、これから先は、夫婦の二馬力でないとやっていけなくなります。随所で言われていることですが、男性の腕一本で家族を養える時代はとうに終わっています。社会の側にすれば、労働力不足が深刻化することにより、女性のフルタイム就業をより一層促す必要に迫られるでしょう。

女性の社会進出に関連する議論では、とかく働く女性の頭数だけに注目されがちですが、そのような上辺を見るだけでは不十分です。ここで示したような働き方(正規/非正規)のほか、給与の対男性比、職種の分布など、観察ポイントはいろいろあります。

舞田敏彦
1976年生まれ。東京学芸大学大学院博士課程修了。博士(教育学)。武蔵野大学、杏林大学兼任講師。専攻は教育社会学、社会病理学、社会統計学。著書に『教育の使命と実態』(武蔵野大学出版会)、『教職教養らくらくマスター』(実務教育出版)など。近著は『平均年収の真実 31の統計から年収と格差社会を図解【データえっせい】』(impress QuickBooks)

[日経DUAL 2015年8月19日付記事を再構成]

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