若手俳優、2.5次元ミュージカルや子役の出身にも脚光日経エンタテインメント! ブレイク7大登竜門最新事情(後編)

多くの若手俳優を輩出した7つの「登竜門」。前編では「朝ドラ」、「ライダー&戦隊ヒーロー」、「少女マンガ映画」の3つを紹介した。後編では残り4つの登竜門の現状と、そのジャンルで注目される俳優を紹介する。

雑誌モデル発 将来性豊かな“素材”の魅力、女性誌メンズモデルも注目

赤字は現役モデル。※「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」の最終選考会進出者。*はグランプリ受賞
中村嘉惟人(なかむら・かいと) 1998年4月5日、愛知県出身。2010~11年に『天才てれびくんMAX』にてれび戦士としてレギュラー出演

「ファッション誌モデルを経て役者として活躍するケースも最近は増え、モデルオーディションでも個性ある才能に出会える」(ワタナベエンターテインメント・貝塚憲太氏)、「最近のファッション誌は『妄想デート』など企画性の高いページも多く、表情の良いモデルがいないかチェックします」(トップコート・内藤のぞみ氏)など、雑誌モデルも登竜門。

『MEN’S NON-NO』などが典型だが、今後は女性誌のモデルの注目度も高まりそう。かつて山崎賢人がメンズモデルを務めていた『ピチレモン』(10月31日発売の12月号で休刊)からは、現役の中村嘉惟人が『手裏剣戦隊ニンニンジャー』でキニンジャー役に。『仮面ライダードライブ』主演の竹内涼真は『mina』のオーディション出身だ。

子役出身 「大成しない」は過去の話、確かな実力で引っ張りだこに

20代俳優も実力派が求められる時代となって、池松壮亮・神木隆之介・濱田岳・三浦春馬など、子ども時代からドラマや映画に出演してきた子役出身の俳優が存在感を増している。

7月期の連ドラでも、写真の浅利陽介をはじめ、ネクストブレイク候補の子役出身俳優が多数出演。『ホテルコンシェルジュ』でベルボーイ・牧原役の小関裕太、『デスノート』(放送終了)で若手刑事・松田役の前田公輝の2人はNHK Eテレの子ども向け番組『天才てれびくん』で「てれび戦士」として活躍していた。

浅利陽介(あさり・ようすけ)  1987年8月14日、東京都出身。15年春、ドラマ『妄想彼女』で広瀬アリスとW主演。『ホテルコンシェルジュ』に出演中。

2.5次元ミュージカル(舞台) 斎藤工、城田優らを輩出、生ならではの俳優をチェック

2.5次元ミュージカルと称される、アニメやマンガ、ゲームが原作の舞台。今年だけでも、『NARUTO‐ナルト‐』『デスノート』『東京喰種トーキョーグール』といった人気作が次々と上演され、軒並み完売に。2010年頃から作品数が増えはじめ、2014年には全体で91タイトルが上演され、128万人を動員(ぴあ総研調べ)。10代後半~30代の女性を中心に、ブームを巻き起こしている。

女性たちの目当ては、動くキャラクターにあるのはもちろん、それを演じる俳優にも向けられている。アニメやマンガという特性上、若手がキャスティングされる機会が多く、2.5次元の舞台がデビュー作という者も少なくない。

始まりは2003年。現在、数多くの制作を行うマーベラスとネルケプランニングが主導で、マンガ『テニスの王子様』(集英社)を原作としたミュージカル『テニスの王子様』(通称テニミュ)が上演され、大成功を収めた。「少年マンガ原作」で「男性だけ」による舞台は、多くの女性の心をつかみ、累計200万人を動員、今に続くヒットコンテンツとなっている。

初期のキャストには、斎藤工、城田優、瀬戸康史ら現在ではドラマの主演もできる面々が名を連ねている。また、ライダー&戦隊ヒーローとは関わりが深く、多くのテニミュ出身者が番組に出演。志尊淳や、放送中の『手裏剣戦隊ニンニンジャー』に6人目のヒーロー、キンジ・タキガワ役として出演する多和田秀弥もテニミュ出身だ。

2015年下期の主な2.5次元作品と注目男優 表は東京公演の日程。『戦国BASARA~』を除き、大阪をはじめ地方公演もある。

「売れるきっかけのひとつとして、2.5次元ミュージカルを考えてくれる事務所や俳優は多い」と話すのは、ネルケプランニングの社長でもある一般社団法人日本2.5次元ミュージカル協会の松田誠代表理事。

「舞台で当たり役ができると、俳優個人にファンが付きます。するとブロマイドが売れるなど人気が高まり、ライブビューイングも含め海外進出という新しい道も見えてくる。協会を作って注目を集めていることもあり、若手の新たなチャンスになれば」(松田氏)

最近の2.5次元ミュージカルブームの代表作といえば、2012年初演の舞台『弱虫ペダル』だ。マーベラスの古川由隆プロデューサーは、「アニメ化前でしたが、若い女性社員の熱意から舞台化を決めた」と明かす。自転車ものという難題を、セットを巧みに利用した表現方法で躍動感のある舞台に仕立てると同時に、ハンドルのみを手に走り回る俳優陣の熱演が物語の熱さと見事にマッチ。7作も続く人気シリーズに成長した。その5作目『箱根学園篇~野獣覚醒~』で主役・荒北靖友を演じた鈴木拡樹らは、2.5次元舞台の人気を牽引する俳優の代表格だ。

「2.5次元作品は基本はキャラクターありきですが、出演すると成長できると俳優の間で考えられているようです。再演が決まった超★超歌劇(ちょう・ウルトラミュージカル)『幕末Rock』(8月上演)に、ミュージカルで活躍する良知真次君にオファーしたところ快諾。また、新選組を題材とした時代劇の人気作、ミュージカルで『薄桜鬼』には本格的な殺陣アクションがあるので、出演を希望してくれる俳優も増えています」(古川氏)

映像への足掛かりだけでなく、舞台からのメジャー化という俳優の可能性も広げた2.5次元。次にチャンスをつかむのは誰か。

ボーカルグループ ジャニーズにLDH勢も本腰、歌って踊れる俳優が拡大中

多くのファンを持つボーカルグループは主演俳優の宝庫。この2年だけでも20代の主演は14組いるが(表参照)、さらにその次に向け経験を積む者も少なくない。

Hey!Say!JUMPでは、伊野尾慧が『戦う!書店ガール』など、2014年~2015年で3作に出演。SexyZoneの菊地風磨も『GTO』『アルジャーノンに花束を』などコンスタントに俳優業に挑む。

その『GTO』で共演したのがGENERATIONSの片寄涼太と佐野玲於。LDH勢では、『ワイルド・ヒーローズ』にEXILEの佐藤大樹も出演している。

スターダスト勢で目立つのは、DISH//の北村匠海(TAKUMI)。昨年は『信長協奏曲』、2013年の映画『陽だまりの彼女』では、松本潤の中学生時代を演じた。

(ライター 高倉文紀、山内涼子)

[日経エンタテインメント! 2015年9月号の記事を再構成]

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