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未来のリケジョを育成 大学や企業で動き広がる

実体験通じ科学のおもしろさ伝える

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NIKKEI STYLE

理系女性「リケジョ」を増やし、育てようとする大学や企業の動きが広がってきた。実体験を通じて科学のおもしろさを伝える。女性の存在感が高まれば、男性が多い分野での活躍の場が広がるかもしれない。

8月6日、筑波大学筑波キャンパス(茨城県つくば市)の生物学実験室で、高校生6人が真剣なまなざしをしていた。スポイトで一滴一滴、試験管内の溶液をシャーレに垂らす。生物の細胞内にあるミトコンドリアの染色実験だ。2人1組で手順書通り「次の作業はこれだね」と進めていく。

石川香助教(33)は「ミトコンドリアは『細胞のエネルギー工場』と呼ばれています。蛍光染色すると細胞が元気かどうかがわかります」と語りかける。

2時間余りの実験の終盤、電子顕微鏡でミトコンドリアをのぞくと、明るい茶色で染まる姿が見えた。「宇宙に浮かぶ星みたい」と歓声が響く。宇都宮から参加した高校1年生(16)は「これが本物の生物実験なんだ」と目を輝かせる。

この夏、理系に関心のある女子学生に科学の不思議を紹介する企画が各地であった。筑波大は「リケジョサイエンス合宿」と題し、全国の女子中高生が2泊3日で女性研究者と一緒に実験した。女子学生100人は生物、工学、化学など計13の研究室で取り組んだ。

石川助教はミトコンドリアの実験を通じて生き物の奥深さを伝える。「生物の世界は分からないことだらけ。人間の体温調整ですら、仕組みはよく分かっていない」。自身は高校生のときに、ハエや植物を使った遺伝の実験で科学のおもしろさに目覚めた。「科学は暗記科目ではない。なぜ、どうしてと考え続けるところにおもしろさがある」

経団連は内閣府と組み今夏、女子学生向けに「夏の理工チャレンジ」と題した企業見学の場を用意した。業種を超えて約40社が体験イベントを開いた。

飛行機はどうして空高く飛ぶのか。素朴な疑問に答える企画を用意したのは三菱重工業だ。三菱みなとみらい技術館(横浜市)に女子中高生ら約30人が集まった。ジェット旅客機「MRJ」を題材に、機体にかかる重力と浮力が釣り合って飛ぶ仕組みを説明した。

MRJの紙模型を製作しながら、エンジンや翼の長さなど各部品の役割を考える。神奈川県内の私立高校の理数コースに進む高校2年生(16)は「紙でも部品の組み合わせはこんなに複雑なのに、実物はどれほど細かく設計しているんだろう」と話す。工学系志望で将来は医療機器の開発に関わりたいという夢を持つ。「工学と一口に言っても、たくさんの道があると分かった」と声を弾ませる。

大学では研究に集中する環境が大切。子どものいる若手研究者に配慮するのが京都大学だ。男女共同参画担当の理事を務める稲葉カヨ副学長(65)は子育て中の女性研究者を「下りのエスカレーターを昇るような困難がある」と話す。研究者は論文数や他の研究者からの引用数などで厳しく評価される。「育児や家事で時間が取られる女性研究者は、能力があっても業績を残せないことがある」

小学3年生までの子を持つ研究者ら向けに、2006年から支援を始めた。大学が雇った大学院生らが、研究者の代わりに実験用マウスの世話やデータの整理などの比較的簡単な作業を担う。最長3年利用でき、非常勤の研究者ら延べ250人以上が利用した。

京大では7月、女性若手研究者を対象にした「ロレアル―ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」を大学院理学研究科博士後期課程3年の吉村瑶子さん(26)が受賞した。吉村さんは記録媒体として使う磁石について研究する。壊れにくい記録装置の実用化につながる成果を出した。所属研究室の大学院生13人のうち女性は2人。だが「研究での実験や議論に性別は関係ない」と言い切る。

早稲田大学は理工系の西早稲田キャンパス(東京・新宿)で、女子学生の声をキャンパス内の施設改修に反映する試みを始めた。食堂を勉強もできるカフェを意識した清潔感ある場に改修した。女子洗面所のうち7カ所に白衣へ着替えやすい着替え台を設けた。先進理工学研究科の神村有里さん(23)は「理系女子学生は、実験が続くと一日中キャンパスにいることもある。過ごしやすい場かどうかは進学先を選ぶとき大切な要素となる」と話す。

(安倍大資、大西康平)

理工系、女子比率低く

「リケジョ」比率は学部により大きな差がある。文部科学省の2015年度学校基本調査によると、最少は工学部で、13%にとどまる。理学部は26%。一方、比率が高いのは薬学部と歯学部で、それぞれ6割と4割が女性だった。

早稲田大学創造理工学部の菱山玲子教授は理学・工学系に進んだ後の将来像が見えにくいと指摘する。医者の子どもが医者を自然と目指す場合が多いように、職業選択は身近な人の影響を受ける。「理学・工学はロールモデルが見えず、男性職場で働くイメージが残っている」とする。

工学部系のリケジョが増えたとしたら、何が変わるのか。同大理工学術院長の大石進一教授は男女のものづくりに対する見方の違いを指摘する。

「男性が手掛けた製品は上から目線が多い」。画一・大量生産の経済社会と相性は良いが、女性は「消費者へフラットな視点を持てる」。個人の好みや生活に合わせたサービス、製品の需要は高い。リケジョの柔らかな発想が研究開発の場で存在感を高めそうだ。

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