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スーツ・ワンピースに新風 女性管理職の仕事着

2015/8/30

女性管理職の服といえば堅苦しく保守的なスーツ――。そんなイメージががらりと変わりそうだ。この秋、続々と登場する女性のエグゼクティブ向けスーツやワンピースは多彩な顔ぶれ。仕事の後のオフにも映える華やかさを備えていたり、自分らしさを追求できるオーダーが充実していたり。肩肘張らないファッションが働く女性のワードローブに花を添える。
華やかなプリント柄とジャケットの組み合わせが人気(東京都中央区のケイミー)

2011年、コンサルティング会社マオジェンワークス(東京・中央)の毛見純子社長(39)が立ち上げた「ケイミー」。看板商品は華やかなプリントワンピースだ。「シワにならない」「結婚式でも着られる」と口コミで火が付き金融業や弁護士を中心に顧客1万人を抱える。東京の2店舗に続き9月18日、大阪・梅田に関西初の店舗を開く。

伸縮性のある素材はすべて洗える。日本製でワンピースが4万円前後、ジャケット、スカートを組み合わせても5万円程度と手ごろだ。告知は主にフェイスブック。「試したい」とメールすれば職場に商品が届き、気に入ればネットですぐ買える「試着便」サービスが評判だ。「忙しい女性がコーディネートに悩まない、クリーニングに出す手間がない、買い物時間も省く『時短』商品」(毛見社長)

毛見社長はかつて働いていた出版社やコンサルティングでの経験をデザインに生かす。「以前の職場では保守的なスーツが暗黙のルール。飛行機や新幹線で肩が凝りリラックスできなかった」。独立する際、ある男性経営者から「トップに立つなら華やかで自信がありそうに見える装いをしたら」とアドバイスされたのがブランド設立のきっかけ。「女性管理職のストライクゾーンのブランドを目指した」

春夏、秋冬で一度に20万円近く買う人も多い。ロンドンにも進出し、欧州のビジネスウーマンの開拓も始めた。京都のシルクを使った洗える新商品も投入予定だ。

ジャケットやワンピースをそろえた銀座英国屋の女性エグゼクティブ向けオーダースーツ(東京・銀座)

「日本の女性エグゼクティブトップ100人を獲得したい」――。こう意気込むのはオーダースーツの老舗、英国屋(東京・中央)だ。9月1日に発売する「銀座英国屋レディースエグゼクティブモデル by Niena Etsuko Hino」は、国際イメージコンサルタント、日野江都子氏と組んだビジネススーツ。上質なイタリア製生地を使ったジャケット、スカート、ワンピースが基本の組み合わせで、ジャケットとスカートならば24万5000円(税別)だ。

後ろ姿のラインが美しい2つボタンジャケット、適度に襟元が開いてアクセサリーが映えるワンピースは、従来顧客よりも若干若めの40代を意識した。「初めて役職に就かれた方にとって、仕事後の会食にも対応できる間違いないスーツ」とフィッターの藤本朱里さん。女性の社会進出を追い風に、最近、「既製品では着たい服がない」「オーダーを試したい」との40代の声が増えていたという。

生地やボタンの種類が豊富なだけでなく、体形や生活スタイルに合わせた丈やシェイプに仕立てられるのがオーダーの魅力だ。さらに藤本さんによれば「ウール100%の天然素材は手入れが簡単。風通しのよい場所に干せば、においや汗が取れる。一度型紙を作ってしまえば、仕事の合間に生地を選んで注文できる。実は時短商品」。

高島屋が売り場に導入したセーレンのシステムでは、モニターで試着イメージを確認しながらワンピースが注文できる

高島屋もエグゼクティブの獲得に動き出した。9月16日、日本橋店(東京・中央)と新宿店(東京・渋谷)に専用の売り場「エクセラウンジ」を設ける。女性管理職への対面調査やネットでのアンケートを参考にして同社が買い付けた服は、デザインや素材が個性的だ。

たとえば米女性弁護士が手掛ける「CADE」のノーカラージャケット、「MIKAKO NAKAMURA」の光沢のあるワンピース、シルエットにも凝ったゴルフウエアといった具合。「女性らしさ、華やかさ、上質さ」(MD本部レディスファッションディビジョン課長の若井薫セントラルバイヤー)を掲げ、オフィスからオフまで網羅する。顧客で会員組織を作り、着こなしアドバイスといったサービスも提供する。

米女性弁護士が立ち上げた「CADE」のジャケット。前面のデザインが個性的で光沢のある素材
MIKAKONAKAMURAのワンピース
エグゼクティブが好みそうなゴルフウエアもそろえる

目玉の一つが繊維メーカー、セーレンが開発した「ビスコテックス」システムだ。顧客はモニターで試着イメージを確かめながらデザインや柄を選び、ワンピースをオーダーできる。

職場が男性中心を脱し「女性の部下から『おしゃれ』とみられたい、憧れられたい、という女性管理職が増えている」と高島屋の若井さん。第一線で働く女性管理職向けの服は、市場が小さいと、長い間エアポケットだった。婦人服売り場に大きな変化の波が到来している。

(企業報道部次長 松本和佳)

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