ゲーム『大逆転裁判』の魅力を3つの鍵で解き明かす

個性的なキャラクターたちが織りなす逆転劇と、法廷での「異議あり！」という名セリフでも人気を集める法廷バトルゲーム『逆転裁判』シリーズ。2001年10月に第1作が登場し、練り込まれたシナリオは、ゲーム好きのみならずミステリーファンも支持。映画化や宝塚歌劇での舞台化もされるほどのヒットシリーズとなった。

その新プロジェクトとして、19世紀末の大日本帝国と大英帝国を舞台に良質なミステリーが楽しめるゲームとして作られたのが『大逆転裁判　－成歩堂龍ノ介の冒險－』だ。今回の主人公は、ある事件をきっかけに弁護士を目指し、倫敦（ロンドン）へ留学する大学生の成歩堂龍ノ介。彼が様々な難事件に直面しながら、弁護士として成長していく物語を体験していく。

ストーリーは、1話ごとに事件が発生。まず事件現場や関係者のいる場所で聞き込みや調査を行う。部屋の怪しい場所から証拠品を見つけ出したり、怪しい人物を追及することでゲームが進展。証拠品と証言を集めたところで、舞台を法廷に移して弁護士として証人のウソやムジュンを追及することで依頼人の無罪を勝ち取っていく。今作では陪審員制度が登場。彼らの判断により判決が決まるので、検事や証人と戦いつつ、陪審員を説得していく面白さも醍醐（だいご）味に加わっている。

事件に絡んでくる個性的なキャラクターたちとの掛け合いも魅力的。大和撫子の法務助士や"死神"と呼ばれる検事などに加えて、あの名探偵シャーロック・ホームズも登場。ホームズは、龍ノ介を「共同推理」でサポートするが、その超絶推理と龍ノ介のツッコミによる掛け合いは、ミステリーファンもニヤリとする新感覚の謎解きになっている。

シリーズのテイストは生かしつつ、舞台を現代から19世紀末に移して登場人物を刷新することで、これまでのシリーズを知らない人も作品世界に入りやすい。さらに「リアル脱出ゲーム」とコラボしたイベントも全国32都市でツアーが実施された。

個性的なキャラクターと練り込まれたシナリオ、謎解きがたっぷり楽しめるゲームシステム、リアルイベントとのコラボなど様々な楽しみを提供する『大逆転裁判』。笑いあり涙ありの上質なミステリーを堪能したい。

独特な世界観を持つ本作は、主人公・成歩堂龍ノ介はもちろん、脇を固めるキャラクターも個性的だ。ミステリーといえば主人公と助手の掛け合いがお約束だが、龍ノ介とヒロイン御琴羽寿沙都もなかなかの名コンビ。龍ノ介の親友・亜双義一真やライバルとなる"死神"検事バロック・バンジークスなど独特な雰囲気を持つキャラクターも多い。さらにゲーム独自の解釈で設定されたシャーロック・ホームズや夏目漱石も登場。夏目漱石が殺人事件の容疑者になるなど意外な展開も面白い。

ゲームは、2つのパートで進めていく。事件が発生すると、まず「探偵パート」で事件現場を調べたり、関係者から聞き込みをして事件の真相を推理する。ここで事件に関係する証拠品や証言が集まったら、裁判に出廷して「法廷パート」に挑む。証人に尋問しながらウソやムジュンを指摘していき、陪審員たちの評決で無罪を勝ち取るのが目的。「大逆転」を起こし、依頼人の無罪を勝ち取ろう。

カプコンといえば、様々なコラボレーションが得意。本作では、イベントやお笑いタレントを起用したテレビCMなどを展開した。

「リアル脱出ゲーム」と組んだ「倫敦大法廷殺人事件」は、ゲームと同様に弁護士となって事件の謎を解き明かして「逆転無罪」を勝ち取るのが目的。舞台はゲームと同じ19世紀末の倫敦だ。ホームズや御琴羽寿沙都などのキャラクターも登場しており、主人公の成歩堂龍ノ介になった気分で体験できた。

2015年9月12日からは愛知県犬山市の明治村にて、『大逆転裁判 「容疑者 夏目漱石 失踪事件　～吾輩は無罪である。～」』が開催される予定だ。

テレビCMには、アンタッチャブル山崎とカンニング竹山を起用。バラエティ番組などで共演する機会も多い2人だが、テレビCMでは初共演。成歩堂龍ノ介とシャーロック・ホームズにふんして出演した。

ゲーム本編の楽しさ以外にも、テレビCMやイベントなど多方面で話題を集めている。

（ライター　久村竜二）

［日経エンタテインメント！ 2015年8月号の記事を再構成］