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現役世代にもある年金の恩恵 避けたい保険料未納

2015/8/23

 障害年金も加入している公的年金から支給される(表B)。この夫婦の場合、共に厚生年金に加入していたので、支給されるのは障害厚生年金と障害基礎年金の2つ。夫は合計月14万円ほど、妻も両方で約11万円になった。

 障害年金を本来受け取れたはずの時から認められたときまでの未支給分約1000万円も一括して受け取ることができた。夫婦は今、「年金があるから生きていられる」と語る。

 障害年金も受け取るには条件がある。その障害の原因となる病気や事故が起こったときに公的年金に加入しており、そこまで保険料をきちんと納めていたこと、一定の障害状態と認められることが必要だ。障害の状態はその重さによって1~3級に分類され、金額も異なる。この夫婦は共に最も重い1級だった。

 障害年金に詳しい特定社会保険労務士の加賀佳子氏は「ほぼすべての傷病からくる障害状態が支給対象となるので、該当する可能性があれば年金事務所や市町村窓口で相談したい」と話す。ただ窓口の担当者が障害年金には詳しくない場合もあるという。そのときは社会保険労務士などに相談してみよう。

 保険料についても「いつ病気やけがをするかわからないので、年金は老後の話と決めつけずに納めておくべきだ」(加賀氏)。収入が少なくて払うのが難しいときは、免除の手続きをしておきたい。

 もちろん本来の目的である老後の所得保障という観点からも公的年金の意義は大きい。

■60歳過ぎでも加入

 社会保険労務士兼ファイナンシャルプランナーの沢木明氏は中高年向けセミナーなどで「60歳を過ぎて働くときでも厚生年金に加入し、保険料を納めておいたほうがよい」とアドバイスしている。働きながら受け取る厚生年金は一定割合減額される。それでも加入を勧めるのは、予想外に長生きする可能性があるからだ。加入しておけば、働き終えた後の年金額が増やせるので安心感が増す。

 少子高齢化で将来の年金支給水準は今よりも下がるのは間違いないが、老後の生活は年金を柱に貯蓄や就労による賃金なども併せて考えるのが基本。若いうちから役に立つ遺族年金や障害年金のことを考え合わせると、多くの専門家は「保険料の未納は避けたい」と指摘している。(編集委員 山口聡)

[日本経済新聞朝刊2015年8月19日付]

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