「品プリの水族館」は酒も飲める大人の空間

2015/8/29

おでかけナビ

日経トレンディネット

JR品川駅から徒歩2分、都市型水族館のパイオニアとして知られる品川プリンスホテル内の水族館「エプソン品川アクアスタジアム」が総工費約20億円をかけ、「エプソン アクアパーク品川」として2015年7月にリニューアルオープンした。

1階と2階で全11エリア。メリーゴーラウンド「ドルフィンパーティー」と振り子型の船「ポート・オブ・パイレーツ」という人気の2機種にイルミネーション演出が追加された。開館時間は10~22時(8月29日~8月31日、9月19日~23日は9時~)。入館料は大人2200円、小中学生=1200円、幼児(4歳以上)700円

これまでもメリーゴーラウンドなどのアトラクションを備えたエンターテインメント性の高い演出で人気だった同館だが、リニューアル後は「音・光・映像と生きものの融合」をコンセプトに、さらにパワーアップした。

世界初となる透明の液晶タッチパネルを使った水槽展示は、水槽の画面に触れると中で泳ぐ魚の生態の説明などが表示される。タコの水槽では真っ黒い画面に手で触れると墨を模した黒い部分が動き、中のタコが現れるといった趣向を凝らした演出が面白い。

水槽とデジタル技術が融合した「インタラクティブ」エリア 。透明の液晶パネルを搭載した水槽は常設展では世界初だという
真っ黒な墨の映像にタッチしてスライドさせれば、 中に展示されたタコが見える。指で触れて色を塗り替えたり模様を描いたりできるなど、展示される生きものとリンクした演出を楽しめる

昼と夜で雰囲気がガラリと変わる

「ジェリーフィッシュランブル」ゾーン。7個の円柱水槽と中央の楕円型シンボリック水槽全てにクラゲを展示。ゆらゆら漂うクラゲたちと音と光を融合。癒やされる空間だ

目玉のひとつが、新たに開設された「ジェリーフィッシュランブル」。7個の円柱水槽と中央の楕円型の水槽に、すべてクラゲが展示されているさまは圧巻だ。さらに昼と夜、そして花火をイメージした光と音の演出で幻想的な世界観を表現。取材時は夜と花火の演出を体験したが、光の色や動きによって、さまざまに印象を変えるクラゲは見る者を飽きさせない。

演出は昼と夜、花火の3種類。カラフルできらびやかな花火の演出
幻想的なブルーの夜の演出。壁と天井が鏡なので光の広がりが感じられる

2階の「ジャングルゾーン」をはじめとする水槽エリアも拡充され、生きものたちを身近に感じることができるふれあい広場も新設。いずれも思わず立ち止まってしまうようなものが多く、スペース以上のボリューム感が感じられる。

オットセイが水面にヒレを出して浮かびながら体温調節をする姿や、 コツメカワウソやアザラシ、ペンギンの水陸それぞれの過ごし方など、 動物の生態を生かした展示の「ワイルドストリート」
初展示となる淡水魚、爬虫類、両生類をメインとした「アクアジャングル」にはピラルクや、 最大で全長4メートルまで成長するといわれ、 淡水に生息するエイとしては世界最大級のヒマンチュラ・チャオプラヤなどの目玉生物のほか、人気のカピバラ(写真)にエサをあげるプログラムも実施される

リニューアル前から人気の高かったイルカショーも光と音が効果的に用いられている。イルカプール「ザ スタジアム」には、ウオーターカーテンとムービングライトで、光を受けてきらめく立体的な水と音の演出が見どころだ。

カマイルカ、 バンドウイルカ、 オキゴンドウたちのパフォーマンスが楽しめる「ザ スタジアム」。円形プールに、 水の幕に模様などを刻むウオーターカーテンや照明を新設して演出設備を強化。 昼と夜で異なるショーが行われ、その内容も定期的に更新される予定

さらに昼と夜では演出が異なり、昼は外光にきらめく水とアップテンポの音楽、スタッフの明るいトークで楽しく盛り上げる。夜は一転してダークなライティングのなかでカラフルな光が浮かび上がる幻想的な雰囲気。夜はトークもないので、落ち着いてイルカショーを楽しめる。

上部が天窓になっており、 時間によって雰囲気が異なる長さ約20メートルのトンネル水槽「ワンダーチューブ」。 世界で唯一展示されるドワーフソーフィッシュや、 東日本で唯一展示されるナンヨウマンタに加え、 今回15種のエイを新たに加え、 全24種のエイを展示。約350種、約10000匹が泳ぐ。「ワンダーチューブ」ではオープン時間前に貸し切りで行うウエディングプランもある

夜は酒を飲みながらゆっくりと楽しめる

ところで、展示を見ていて気がついたのは、生き物の説明が必要最小限にまとめられていることだ。

「都市型の水族館にふさわしいエンターテインメント要素を強化したリニューアル。水族の学習というよりも、音と光、映像と生き物の美しいコラボレーションを楽しんでほしい。昼はファミリーに、夜はカップルに楽しんでもらえれば。ビジネスパーソンが仕事帰りにふらっと立ち寄れるような水族館にしたい」と語るのはエプソンアクアパーク品川の広報担当、山田亜希子氏。

品川駅直近でホテルに隣接した同館は出張や会社帰りに立ち寄るニーズもふまえ、大人も楽しめる要素がふんだんに盛り込まれている。

ブラックライトに照らされて発光サンゴが放つ神秘的な光で幻想的な雰囲気を出した「コーラルカフェバー」。
サンゴ展示の横に並ぶバーカウンターでは昼はカフェ、夜は瓶入りのアルコールをメインとしたドリンクやハンディータイプのスナックなどを提供。ソフトドリンク300円、アルコール500円

そのひとつが館内のバー。ビールやカクテルも用意され、ドリンクを飲みながら展示やショーを楽しむことができる。22時まで営業しているので、食事の後にも楽しめる。今後はプリンスホテルとの相互利用やナイト利用の特典などのサービスも計画されている。新幹線が発着する品川という場所柄、外国人観光客も多い。音と光と映像の演出は外国人にも分かりやすく共感が得られやすい。インバウンド需要も大いに取り込めるリニューアルと言えそうだ。

ドリンクやスナックは持ち歩きながら館内全体で飲食が可能

(ライター 永浜敬子)

[日経トレンディネット 2015年7月14日付の記事を再構成]

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