JR品川駅から徒歩2分、都市型水族館のパイオニアとして知られる品川プリンスホテル内の水族館「エプソン品川アクアスタジアム」が総工費約20億円をかけ、「エプソン アクアパーク品川」として2015年7月にリニューアルオープンした。

これまでもメリーゴーラウンドなどのアトラクションを備えたエンターテインメント性の高い演出で人気だった同館だが、リニューアル後は「音・光・映像と生きものの融合」をコンセプトに、さらにパワーアップした。
世界初となる透明の液晶タッチパネルを使った水槽展示は、水槽の画面に触れると中で泳ぐ魚の生態の説明などが表示される。タコの水槽では真っ黒い画面に手で触れると墨を模した黒い部分が動き、中のタコが現れるといった趣向を凝らした演出が面白い。
昼と夜で雰囲気がガラリと変わる

目玉のひとつが、新たに開設された「ジェリーフィッシュランブル」。7個の円柱水槽と中央の楕円型の水槽に、すべてクラゲが展示されているさまは圧巻だ。さらに昼と夜、そして花火をイメージした光と音の演出で幻想的な世界観を表現。取材時は夜と花火の演出を体験したが、光の色や動きによって、さまざまに印象を変えるクラゲは見る者を飽きさせない。
2階の「ジャングルゾーン」をはじめとする水槽エリアも拡充され、生きものたちを身近に感じることができるふれあい広場も新設。いずれも思わず立ち止まってしまうようなものが多く、スペース以上のボリューム感が感じられる。
リニューアル前から人気の高かったイルカショーも光と音が効果的に用いられている。イルカプール「ザ スタジアム」には、ウオーターカーテンとムービングライトで、光を受けてきらめく立体的な水と音の演出が見どころだ。

さらに昼と夜では演出が異なり、昼は外光にきらめく水とアップテンポの音楽、スタッフの明るいトークで楽しく盛り上げる。夜は一転してダークなライティングのなかでカラフルな光が浮かび上がる幻想的な雰囲気。夜はトークもないので、落ち着いてイルカショーを楽しめる。

夜は酒を飲みながらゆっくりと楽しめる
ところで、展示を見ていて気がついたのは、生き物の説明が必要最小限にまとめられていることだ。
「都市型の水族館にふさわしいエンターテインメント要素を強化したリニューアル。水族の学習というよりも、音と光、映像と生き物の美しいコラボレーションを楽しんでほしい。昼はファミリーに、夜はカップルに楽しんでもらえれば。ビジネスパーソンが仕事帰りにふらっと立ち寄れるような水族館にしたい」と語るのはエプソンアクアパーク品川の広報担当、山田亜希子氏。
品川駅直近でホテルに隣接した同館は出張や会社帰りに立ち寄るニーズもふまえ、大人も楽しめる要素がふんだんに盛り込まれている。
そのひとつが館内のバー。ビールやカクテルも用意され、ドリンクを飲みながら展示やショーを楽しむことができる。22時まで営業しているので、食事の後にも楽しめる。今後はプリンスホテルとの相互利用やナイト利用の特典などのサービスも計画されている。新幹線が発着する品川という場所柄、外国人観光客も多い。音と光と映像の演出は外国人にも分かりやすく共感が得られやすい。インバウンド需要も大いに取り込めるリニューアルと言えそうだ。

(ライター 永浜敬子)
[日経トレンディネット 2015年7月14日付の記事を再構成]