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相続トラブル百科

遺言書に仕込まれた「爆弾」 司法書士 川原田慶太

2015/8/14

 平成に入ってから遺言書を作成する人の数は2.5倍に増えました。さらに、現在、遺言書作成に対して税金面で優遇措置を設ける検討もされています。今後さらに大ブームが到来するかもしれないという状況ですが、その一方で、立ちふさがる壁がゼロではありません。

「遺留分」があることで後々トラブルに発展するケースもある

 「遺言書は万能じゃない 立ちふさがる壁」(7月31日付)では、その壁の一つ、「日付」の問題を取り上げました。今回はもう一つの壁にスポットを当ててみます。相続権の最低保障が絡む「遺留分」です。まさに遺言書につきもののトラブルといえます。

 実は、遺言書を作成する時点では、財産の分け方について制限や決まりはほとんど設けられていません。そもそも自分の財産なのですから、「自分が分けたいように、好きに決めてよい」というのが原則です。不倫相手に全財産を渡すとか、いわゆる公序良俗に反する内容だったため、死後に無効とされた裁判例などはありますが、そういった極端なものでなければ大丈夫だという前提があります。

 例えば、両親と子ども2人の4人家族のケースを想定してみましょう。父親か母親のどちらかが「自分が亡くなった後の財産の行く末を決めておきたい」と思い、遺言書を作ることにしたとします。先ほども書いたように、具体的な配分は本人の自由です。

 残される3人の家族で均等に分配してもよいし、逆に1人だけに全部引き継がせるということでもかまいません。「将来こうしてほしい」という内容を決める時点では、法律に定められた相続権の割合(残った親が2分の1、子どもたちがそれぞれ4分の1ずつ)を守らなければならないという決まりは特にないのです。どんなバランスでも、遺言書を作った時点で何かペナルティーを科せられることはありません。

 ただし、残念ながら、将来は大きな問題が生じる可能性があります。代表的なトラブルが遺留分に関するものです。一定の相続人に認められた「最低保障」のような考え方を巡るもめ事が生じるかもしれないのです。

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