回復期の四十肩・五十肩に効く「3方向ストレッチ」
四十肩・五十肩の痛みが、夜に出ることがあったとしても、何もしていないときはほとんど痛まなくなった、腕をいっぱいに伸ばしたときだけ痛いという状態になったら、「拘縮期」に入ったサインだ。ストレッチを始めよう。
ストレッチは硬くなった関節包を徐々に伸ばし、肩の動きを改善するための治療だ。医療機関に通院している場合も、3~6カ月を目安に継続して行うよう指導される。
「筋肉はゴムのように伸びやすいが、関節包はいわば綿布のように伸縮が少ない。そのため、1回のストレッチで伸びるのは関節の角度で1~2度ほどだが、続けることで徐々に効果が出てくる」と東北大学病院リハビリテーション部の理学療法士である村木孝行さんは話す。
3つのストレッチで関節をほぐす
村木さんが薦めるストレッチは、上腕を内側にねじる「内旋」、外側にねじる「外旋」、腕を上げる「挙上」の3つ。
内旋は関節包の後ろ側を伸ばし、外旋は前側全体、挙上は下側を伸ばす。そのため、3種類すべてを行えば、可動域の制限が出ているほぼ全方向をカバーできる。
実際に行う際は、内旋→外旋→挙上の順で、力を抜いてリラックスした状態で行う。
腕が下がった状態からいきなり挙上すると、ある角度で痛みや引っかかりを感じ、それ以上腕が上がらないインピンジメントと呼ばれる現象が起こることがある。しかし、あおむけになり、ひじにクッションを当てて高くし、肩甲骨を30~45度挙げた状態で、まず内旋と外旋を行えば、関節包が下のほうまでぴんと伸びるので、腕が挙げやすくなるという。
「挙上したとき、骨と骨がぶつかって痛みが出た場合はうまくストレッチできていないサイン。この場合は無理せず、リラックスしてできる範囲でやってほしい」と村木さん。
お風呂上がりや寝る前にベッドで、3種類を各3~5回を目安に始め、伸ばす強度を徐々に上げていこう。余裕のある人は朝・昼・晩と3回やってもいい。ただし、翌日痛みを引きずらない程度にとどめておく。痛みを引きずるようなら、治まるまでいったん中止しよう。
この人に聞きました
東北大学病院リハビリテーション部理学療法士。専門は肩関節疾患、肩の運動学。「肩を大きく動かすためには体幹の柔軟性も必要なので、体をねじったり、わきを伸ばすストレッチも薦めている」
(ライター 小林真美子)
[日経ヘルス2015年9月号の記事を再構成]
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