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自転車にぶつけられ骨折 もらえる賠償額は

2015/8/7

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Aさんが妻と一緒に歩道を歩いていたところ、後ろから自転車が走ってきて妻にぶつかった。転倒した妻は最初は大したケガではないと思ったが、後で骨折していたことが判明し、数カ月、不自由な生活を強いられた。相手に損害賠償を求めたいが、いくら請求できるのだろう。

交通事故による損害賠償は、金銭面と精神面の損害を合算した「総損害額」と、互いの過失割合に応じて決まります。過失割合は事故の状況によります。相手にすべての原因があれば総損害額の10割が認められ、自分に2割の原因があれば8割が認められます。

歩道で自転車と歩行者がぶつかった場合、通常は「自転車側が圧倒的に大きな責任を負う」と弁護士の園高明さんは話します。歩道ではあくまで歩行者が優先されます。歩行者が急に飛び出すなどしていなければ、総損害額の全額を請求できると考えられます。

最近では自転車が高機能になりスピードが出やすくなったため、「重大な事故が起きやすくなっている」と、弁護士の羽成守さんは指摘しています。歩行者側が寝たきりになれば、損害賠償額が数千万円という例は珍しくありません。

総損害額は大きく、医療費と収入の減少分、慰謝料の3つに分けられます。

医療費は、医療機関で払った費用や病院に通う際の交通費などです。介護のための費用も含まれます。園弁護士によると、「賠償額が高額になりやすいのは、後遺症が残った場合」です。将来の介護費も含めて相手に請求できるからです。

収入の減少分は、ケガにより仕事ができなかった期間を考慮します。後遺症で今まで通りの仕事ができなくなり、収入が下がった場合はその分も含まれます。もともとの収入や年齢などで金額は変わり、専業主婦にも認められます。

慰謝料は入院で自由な時間を奪われるといった精神的な苦痛への償いです。入院日数や後遺症の程度などに応じて金額が決まるのが一般的です。損害賠償額については弁護士団体が算定基準を作っています。

実際に損害賠償を請求するのは通常、治療が終わり金額が確定してからです。後遺症は状態が安定した後でその程度を判断します。

損害賠償を求め、相手が応じれば示談が成立します。応じなければ簡易裁判所に調停を申し立てます。簡裁では調停委員が双方の言い分を聞き、事故の証拠などを手掛かりに双方が納得できる金額を探ります。それでも折り合わなければ訴訟になります。

自転車事故では自分が加害者側になる恐れもあります。その場合に備えるのが個人賠償責任保険です。火災保険や自動車保険に付帯できることが多く、損害賠償責任を負ったときに保険金が下ります。羽成弁護士は「自転車に乗る人は個人賠償責任保険に加入しておくべきだ」と助言します。

[日本経済新聞朝刊2015年8月5日付]

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