世代別ヒロイン決戦、若手女優が強い事務所は?
日経エンタテインメント!
日経エンタテインメント!では2012年6月号でも、主な芸能プロダクションごとに、各年齢層にどのような女優が所属しているかを表にまとめた。今回は約3年間のアップデートを精査して、最新版を作成した。
この表を横方向に見ると、どの世代の層が厚いかが分かる。また、U‐23は武井咲・本田翼・有村架純など華のあるスター性の高い主演女優が多く、U‐20は松岡茉優・土屋太鳳・小松菜奈ら個性的な演技派が目立つといった、世代ごとの傾向も見られる。
一方で、タワー状の積み重ねを縦に見ると、各事務所にとってのドル箱女優の後続に若手が順調に育っているかがひと目で分かる。
10代後半の頃に学生役から注目を集めた所属女優が、20代後半になるにつれて求められる役柄が変化したときに、高校生役を演じられる年代の有望な若手がいないと、魅力的なドラマや映画のオーディションがあっても参加できず、事務所としては痛手だ。切れ目なく、年齢層ごとに女優を育てることは、事務所にとっての「アンチエイジング対策」とも言える。
広末涼子らが所属するフラームは、ここ1年ほどで、久しぶりに5名ほどの新人が所属した。同社のチーフマネージャー・大塚雅彦氏は「有村架純が20歳になって、当時は次の現役高校生世代の女優がいなかったので、新人の育成が必要だなという危機感がありました。その後、縁があってたまたま同時期に違ったタイプの5人の新人が所属することになりました」と話す。なかでも、山口まゆは『アイムホーム』で木村拓哉の娘役に起用されるなど、評価が高い。
研音は川口春奈が主演女優に成長して以降も、「Next Generation」という新人育成部門の効果が高く、順調に年代ごとの若手が育っている。15年春は現在小6の桜田ひよりがドラマ『ワイルド・ヒーローズ』で活躍したが、夏クールは高1の大友花恋、高3の水谷果穂が連ドラにレギュラー出演する。
部署別に育成の事務所も
スターダストプロモーションは、セクションごとに独立した戦略で女優を育てていることで知られ、U‐20の年代では、芸能1部(常盤貴子・竹内結子・本田翼らが所属)に森川葵がいて、芸能3部(柴咲コウ・北川景子・ももいろクローバーZらが所属)には早見あかり・小松菜奈がいる。さらに若いU‐16の世代には芸能2部(麻生夏子らが所属)に、ドラマ『表参道高校合唱部!』にも出演する柴田杏花という未来のエース候補が所属する。
アミューズは、上野樹里・吉高由里子・仲里依紗と個性的な主演女優を育ててきたが、その後の世代の三吉彩花と松井愛莉は、世間ではモデルやテレビ番組での活躍の印象がやや強いかもしれない。それだけに、次世代主演女優候補としては、朝ドラ『あさが来た』出演が決まった清原果耶の育成に力が入りそうだ。
オスカープロモーションは、武井咲・忽那汐里・剛力彩芽と相次いで人気女優が生まれたが、いずれもU‐23となり、続く世代の主演女優育成が課題。第13回(12年開催)の全日本国民的美少女コンテストでグランプリになった吉本実憂と、第14回の同コンテストグランプリの高橋ひかるの2人が、年代こそ異なるが次世代のライバルとして浮上した。
テンカラット所属の中条あやみは、今年に入って「メリット ピュアン」「ポカリスエット」のCMにメインで起用され、美少女度の高い新星として注目を集めた。90年代に田中麗奈が「なっちゃん」や「フジカラー」のCMに登場した当時をほうふつさせ、CMで鮮烈なインパクトを与える手法は、同事務所の「伝統芸」とも言える。
期待の次世代としてカタログ形式でピックアップした女優は、デビュー以来の実績や最新の出演作、将来性を分析して、今後数年間の各事務所のイチオシになっていくであろう逸材をエンタ!が選んだ。
前回、12年のときの「次世代ヒロイン決戦」で同じようにピックアップしたメンバーからは、有村架純・黒島結菜・松岡茉優・能年玲奈が主演級に成長した(広瀬すずは本格的活動開始前だった)。
今回のメンバーからも、数年後の主演女優が多数生まれることを期待したい。
(ライター 高倉文紀)
[日経エンタテインメント! 2015年8月号の記事を再構成]
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