鉄道に乗り鹿島神宮へ ナマズを食べて猛暑に負けるな
待ちに待った?ロケ第2弾、行き先は茨城県霞ケ浦周辺です。茨城は水戸市、日立市などJR常磐線沿線なら取材などで出向いたことはありますが、そのほかの地域はとんと縁がありませんでした。鹿嶋市、行方(なめがた)市あたりを鹿行(ろっこう)地域と呼ぶそうです。勉強しました。
最大の不安は梅雨明けとともにやってきた猛暑です。ロケ(7月25日土曜日)の数日前に撮影場所を下見に訪れたスタッフがヘロヘロになって帰社したと聞いて、いっそう不安が募ります。筆者も湯沢記者も暑さは大の苦手です。
おまけに集合はJR鹿島線・鹿島神宮駅に午前9時。自宅からたどり着くには午前5時過ぎに電車に乗り、4回も乗り換えて3時間以上かかります。乗り換えを減らすには東京駅八重洲南口から頻繁に出発する鹿島神宮駅行きの高速バスに乗るのが手っ取り早いけれど、それでは鉄道ファンの名が廃るというものです。
成田空港行きの快速「エアポート成田」などを乗り継いで、最後は成田線佐原駅から鹿島神宮行き4両編成の各駅停車に乗ります。香取駅を出て成田線に別れを告げると、一面の田園地帯や北浦を見下ろすように高架橋をのんびり走ります。
鹿島線は比較的新しい路線です。首都圏と鹿島臨海工業地帯を結ぶ路線として開業したのは1970年(昭和45年)。香取駅から鹿島サッカースタジアム駅までが鹿島線でありながら、JRの電車は基本的に一つ手前の鹿島神宮駅で折り返します。立体交差を基本に、踏切が1カ所もありません(鹿島臨海鉄道の水戸付近に少数あるのみです)。
もっとも乗客数の低迷で最盛期に1日5往復運転された「特急あやめ号」(東京-鹿島神宮)は徐々に本数を減らし、今年3月のダイヤ改正で定期列車は姿を消しました。そのうえ鹿島神宮駅はスイカ(Suica)などのICカードに対応した自動改札機がありません。窓口に備えた機器で駅員さんに精算してもらいました。
もう一つの目的がナマズを食べて夏バテを予防すること。近畿大学がウナギに味が似たナマズを開発するなど、価格高騰が続くウナギの代替品として注目を集めています。霞ケ浦周辺では30年以上前からアメリカナマズ(チャネル・キャット・フィッシュ)を養殖しており、周辺にはナマズ料理を出す飲食店もあります。ナマズと縁の深い鹿島神宮にも参拝しなければいけません。
鹿島神宮の大ナマズを封じ込めた要石、参道の料理店「鈴章」でいただいたナマズのかば焼き、行方市の「なまず屋」で養殖されているアメリカナマズは映像をご覧ください。
「なまず屋」のアメリカナマズは5~6年で体長1メートル近く、重さは2~3キロに成長します。池から網ですくい暴れるナマズは迫力満点です。
かば焼き、刺し身、煮付け、味噌汁を鈴章、なまず屋でいただきました。ウナギと比べると脂分は少なめですが、身は肉厚。かば焼きは食感こそウナギと違いますが、味は変わりません。「決まった餌を与え、加工・出荷前は地下水で畜養するので臭みはない」(なまず屋の野原吉伸さん)ので、刺し身もおいしく食べられます。
意外な掘り出し物は、行方市観光物産館「こいこい」で提供する「行方バーガー・なめパックン」です。アメリカナマズに茨城特産のレンコンなどを合わせてすり身にしたフライをパンで挟んでいます。千切りキャベツ、ソースとのコンビネーションが絶妙で、1日30~40個売れるそうです。1個500円とファストフード店のバーガー類より高いけれど、ボリューム満点です(直前の昼食休憩でざるうどんを普通盛りにしておいてよかった……)。
実は一度も食べたことがなかったので、ロケの数日前にナマズの町で有名な埼玉県吉川市を娘(8歳)と一緒に訪れて「鯰重」を味見しました。こちらは霞ケ浦のアメリカナマズと違い、ニホンナマズ(マナマズ)です。アメリカナマズより小ぶりであるものの、1匹丸ごとごはんの上に載せられた印象は肥えたウナギを使った「うな重」です。身が厚くて歯応えがしっかりしていますが、おいしくお腹に収めてきました。
1週間の間にナマズを2回も食べたので、ロケの疲労回復が早かった気がします。ナマズの効能も侮れないと実感しました。
次回は鹿島臨海鉄道に乗って茨城が誇るメロンを味わい、2007年に廃止された鹿島鉄道の廃線跡を訪ねます。(8月15日の更新予定)
(電子編集部 苅谷直政)
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