旅行・レジャー

日本の歩き方

道産素材の大福・ドーナツ… 大地の甘さ味わう 北海道スイーツ

2015/8/14

北海道はコメや小麦、小豆など、和菓子や洋菓子の原材料の大生産地でもある。夏休みの旅行などで訪れたら、北の大地で育った素材を使った優しい甘さのスイーツを満腹になるまで食べに出かけてみよう。
2回ついた餅であんこを手際よく包んでいく
豆大福や草大福などが人気だ

札幌駅から北東へ車で約5分。1940年創業の餅菓子屋「かど丸餅店」を午後11時ごろ訪ねると、木製の枠の引き戸からうっすらと明かりがもれていた。翌朝午前6時の開店に向け、餅作りが始まる時刻だ。

白い調理服の3代目店主、南和彦さんは餅作りを始めて半世紀の餅職人だ。午後9時に起き、弟子とともに深夜から早朝にかけて豆大福や草大福、イチゴ、クルミなど多い日には約十数種類計2000個近い餅菓子を作る。

気温や湿度、餅米の状態を見極めてふかす時間や熱の逃がし方を調整する。「風が一番の敵」と南さん。窓を閉め切った作業場で夜通し作る。

ふかした餅米を粗つき、本つきと2回つく。コメの粒がどんどんなめらかになっていく様子はまるで生き物のよう。手際よく餅であんこをくるみ、熱をとったら、表面の粉を丁寧にはけで落とす。形を整えた餅菓子の表面はつるんと滑らかだ。

コーヒー豆は市村店長が焙煎する

餅菓子の値段は1つ98円。2回ついているためコシがあるが、かみ切りやすくのどごしがいい。餅米やあんこに使う小豆などほとんどの材料が北海道産。商品によって粒あん、こしあんを細やかに使い分ける。「手作りの餅は堅くなりやすいからね」。丸や三角の形をした餅菓子を、出来たての一番おいしい状態でケースに並べる。長く通う常連客や近隣の学校に通う学生が多く、たいてい午前10時すぎには売り切れて閉店する。

工場だった建物を改装し、ニューヨークのソーホー地区をイメージして造った重厚な雰囲気の2階建ての建物。道産小麦を使ったドーナツやこだわりコーヒーを楽しめる「D×M(ディーバイエム)」だ。

店に入ってすぐに目を引くのがコーヒー豆の焙煎(ばいせん)機。札幌の老舗喫茶店「森彦」から独立した同店は、新鮮さにこだわった自慢のコーヒーを提供する。焙煎を手掛けるのは市村猛店長だ。

カシスのドーナツを淹れ立てのコーヒーと一緒にかぶりつきたい

右手に進むとレジの近くにチョコレートやナッツなどでデコレーションを施したドーナツが約10種類ずらりと並ぶ。道産小麦と米粉をブレンドしたオリジナルの生地で大きさは直径10センチ程度とボリュームがある。フルーツや抹茶など食材の味や色合いを生かし、着色料や保存料は使わない。価格は1個200~260円。

「人気はドーナツとドリンクのセットですよ」と市村店長。客の好みを聞きながら、ドーナツやおすすめの豆、適した抽出器具を紹介する。イタリアのラ・マルゾッコ社のエスプレッソマシンで抽出したエスプレッソを使ったカフェ・ラテも注文できる。セット価格は700円だ。

人気のカシスのドーナツとカフェプレスで抽出するコーヒーのセットを頼んだ。階段で2階に上がると、ゆったりとしたカフェスペースが広がる。窓から四季折々の花木を眺められる席もある。

1階でも飲食ができる
食べ応えがある厚さ3.5センチのホットケーキ

札幌市営地下鉄大通駅の改札を抜け、札幌駅に向かう地下通路に入ると見えてくる暖かい光。コーヒーカップや食器が触れ合って奏でる心地よい音が、通行人を引き寄せる。石屋製菓(札幌市)が運営する喫茶店「ISHIYA CAFE」は多くの通勤客が通る動線上にあることもあり、1日を通じて来店客でにぎわう。

チョコレート菓子「白い恋人」や観光施設「白い恋人パーク」で国際的にも有名な石屋製菓が同パーク以外で喫茶業態に進出したのは、2013年開店の同店が初めて。

目玉商品は分厚いホットケーキ。厚さ3.5センチ、直径11センチの大きなケーキがいっぺんに2枚出てくる様子は、メニューの写真よりはるかに迫力がある。薄いパンケーキとの違いを強調するため、同店では意図的にホットケーキと呼んでいる。「子供時代に誰もが1度は食べたことがある、懐かしいホットケーキを再現したかった」と伊保内春香店長。

ケーキやアルコール類も充実している

864円のプレーンと1080円のベリーとチョコレートが定番で、季節限定商品もある。いずれも材料の小麦は道内産のみを使っており、もちもちとしてかみ応えがある。火をうまく通すことが難しく、開業時は注文が集中したため「90分待ちということもあった」。ヨーロッパから取り寄せたアンティークの椅子や照明など、凝った内装も売りの一つ。アルコール飲料やパスタもそろえているので、甘党でなくても注文するのには困らないだろう。

道外では「マルセイバターサンド」などの土産菓子の印象が強い六花亭製菓(帯広市)だが、札幌や帯広では物販だけでなく店内で飲食が可能な直営店が市民の憩いの場となっている。その多くが駅から離れた郊外にあるなか、円山店は市営地下鉄円山公園駅から徒歩数分という好立地。周辺には札幌随一の高級住宅街が広がる。移動手段が限られる旅行者も行きやすく、空港の土産店や百貨店内の物販専門店にはない、喫茶室ならではのメニューがそろう。

幾何学模様のようにも見える六花亭のバウムクーヘン

看板メニューの一つが、マカロンと生クリームが添えられた「バウムクーヘン」。市場を席巻するしっとり系のものと異なり、さくっとした歯触りが特徴だ。「本場ドイツの作り方を意識した」(楢山泰敏喫茶室ライン長)。道外から初めて訪れた人は、バウムクーヘンにかかった生クリームにもびっくりするに違いない。原料に道産の生乳をふんだんに使っており、まろやかで深みのある味のとりこになるはずだ。

2時間半かけて熟成させたベイクドチーズケーキをココアビスケットではさんだ「雪こんチーズ」も喫茶室ならではのメニューだ。子供の手のひらに載るほどの大きさだが、注文を受けてからチーズケーキを挟むなど、六花亭らしいこだわりがある。かむたびに口の中に広がる甘酸っぱい味。雪こんチーズとコーヒーだけを注文する人も多いという。

メニューはどれもお手ごろ価格。バウムクーヘンは250円、雪こんチーズは160円。コーヒーは210円でお代わり自由だ。楢山ライン長は「喫茶室はもうけることよりも、来店してくれた人に一息ついてもらうことが大事」と話す。

7月にはJR札幌駅の斜め向かいに旗艦店「札幌本店」が開業し、より気軽に喫茶室を楽しめるようになった。直営店は店ごとにまったく異なる内外装を取り入れているため、他の店に慣れ親しんでいても、新鮮な印象を受けるはずだ。

店舗住所と連絡先
店名住所連絡先
かど丸餅店札幌市東区北17条東8の2の8
D×M(ディーバイエム)札幌市中央区北3条東6の356011-211-0034
ISHIYA CAFE札幌市中央区大通西4の6の1 札幌大通西4ビル 地下2階011-231-1487
六花亭 円山店札幌市中央区南2条西27011-612-6666

(札幌支社 小山隆史、石橋茉莉)

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