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脳と心が疲れたら ひとり時間に試したいリセット術

2015/8/11

日経ウーマン

 毎日忙しくて、気づけば脳が24時間フル回転状態に。そんなとき、実はやる気や思考能力も低下しがちです。ひとり時間を有効活用した“脳内リセット術”をご紹介します。

■ひとりでボーッと過ごすと考える力や意欲が高まる

 平日は仕事で忙しいので、休日は大好きな友達とゆっくりおしゃべり。でもなぜか、最近ワクワクしない…。そんな人は「脳が“情報過多”でお疲れモードになっているのかも」。こう話すのは、脳のケアを専門にする作業療法士の菅原洋平さん。仕事中でも家でも、メールやSNSなどから、私たちの脳には毎日大量の情報が入ってきます。「脳がそれを処理しきれないと、考える力だけでなく、やる気も低下してしまいます」。

 例えば、人と歩調を合わせて行動するだけで、「脳に情報を入れ続けている状態」になるといいます。そこで、脳を休めて意欲を回復するために必要なのが、ひとりで過ごす時間。「静かな場所へ行ったり、スマホを見ないようにしたり。情報をできるだけ入れないようにして、気ままに過ごすことがおすすめです」。

 同様に、仕事に追われているときこそ、あえてボーッとする時間をつくりたいもの。「考えが煮詰まったときに資料を整理したり、席を立ったり。そんなときふっとアイデアが浮かんだ経験を持つ人は多いはず」。これは脳が、情報のインプットモードからまとめモードに切り替わるからです。日々頑張っている脳を、ひとり時間でリセットする方法を紹介します。

■「脳の働き」から考えた、ひとり「リセット」時間のつくり方

 日々頑張り続けることが、脳の働きを低下させてしまう要因になっている可能性も。正しくリセットするための脳の仕組みを知ろう。

 メール、会議、資料作成、商談…と、仕事では常に新しい情報を入れ続け、移動中や家でもスマホでニュースやSNSをチェック。職場の人や友達と過ごす時間も、情報を入れっぱなし。

 情報を処理しきれず、「理解しない」情報が脳内に増えていく。すると、考えがまとまらなくなり、焦燥感を覚えてさらに情報を詰め込もうとして、ストレスが高まっていく悪循環に。

 ボーッとしたり、単純作業をしたり。そんなとき脳は怠けているのではなく、インプットされた情報を整理する作業に切り替わる。情報を結びつけたり分類したりと、脳が“まとめモード”に。

 一見関連のなさそうな情報同士が結びつき、ひらめきが生まれる。情報が整理されて、脳内で“処理できない情報”が減り、新しい情報をインプットする準備が整い、やる気もアップ。

   平日のすき間時間や休日に、意識してひとりの過ごし方を変えてみよう。

頭をフル回転させた後は、机の上を整理してみる

 会議後、「記憶が鮮明なうちに」とすぐに関連資料を作るのはNG。「間髪入れずに新しい情報を入れると、せっかく入れた情報を消化できません。ぶらぶら歩く、机の上を整理するなど単純作業を挟むことで、ふっと考えがまとまることも」

新規の仕事やハードワークの日は、移動中の勉強や読書を避ける

 忙しい日や、新規の仕事に取り組む日は、移動中に読書や勉強など、新しい情報を入れるのは避けて。「電車内などでボーッとすることで、仕事のアイデアが浮かんだり、商談の内容からヒントを得られたりと、脳の“まとめモード”が働きます」

普段、忙しい人は「計画性のある旅」でリラックス

 忙しい人は、行き当たりばったりではなく、予定をある程度決めてから旅に出るといい。「普段から多くの情報を入れている人は、旅先で探したり、調べたりすることがストレスになる。食べる店や移動手段などを決めておくほうがリラックスできます」

■毎日に刺激がない人は…

予定を立てずに旅に出よう

 毎日がルーティンワークでつまらないと感じている人は、「脳に刺激を与える旅がいい。ふらっと家を出て旅することで、新しい情報ばかりが脳にインプットされ、日常にメリハリが生まれるはず」。

仕事が忙しいときは、いつもと同じ店や席で食べてみる

 仕事で頭をフル回転させているとき、ランチで新しい店へ行くと脳がさらにお疲れモードに。「昼食時間に脳を情報整理モードにするには、なじみの店で食べる、毎日同じ景色の見える席でお弁当を食べるなど、“いつもと同じ”ことを取り入れて」

■新しい店で食べたいときは…

定番の洋服や小物を身に着ける

 忙しいときに新しい店で食事をしたい場合は、着慣れた洋服を身に着けるといい。「新しい服を着るのも、脳にとっては新規の情報。刺激を少なくすることで、脳をうまく休ませることができます」

“投稿するための行動”は速攻ストップ

 SNSで投稿するためにおいしいものを食べに行くなど、リアクション欲しさに行動するのは、「相手からの承認という情報が入らないと落ち着かないという、“情報中毒状態”の表れ。脳をリセットするにはSNSに振り回されないことが必須です」。

■それでも投稿したい人は…

体験を十分に味わってからその感想を伝えよう

 お店で出てきた料理を撮影して、すぐ投稿するのではなく、撮影後は料理をじっくり味わってから、感想とともに投稿を。その場の体験を優先して。

煮詰まったときはトイレに立とう

 仕事の打ち合わせや企画書の作成中など、煮詰まったときは、席を立てそうなら動いてみよう。「おすすめはトイレに立つこと。席を立って一度気を抜いてみると、急に頭がクリアになることも多い。仕事がデキる人がよく使うテクニックです」

忙しいときはできるだけ「いつもの過ごし方」をする

 仕事が忙しいときの週末は、家で過ごしたり、なじみの場所で買い物をしたりと、「いつもと同じ」行動を取ることで脳が情報整理モードに。「逆に仕事が単調な時期は、休日に新しい人と会ったり、新しい場所を訪れたりすると脳が活性化されます」

トイレの中でボーッと一息ついてみる

 子育て中はなかなかひとり時間を持ちにくい。「まとまった時間をつくるのは無理でも、わずかな時間でもボーッとすることで頭が整理され、子どもといい状態で向き合えます」。おすすめはトイレの中。「無心になって、気持ちを落ち着かせて」

家の中でひとりになれるスペースを意識して持つ

 DINKSや実家暮らしで自分の部屋がない場合は、キッチンの一角や洗面所など、ひとりになれる場所を“自分のための場所”として意識するといい。「その場所には本や雑誌など余計な情報を入れないことで、脳をリセットしやすくなります」

この人に聞きました

菅原洋平さん
 作業療法士。ユークロニア代表。国際医療福祉大学卒業。民間病院の精神科勤務後、国立病院機構で脳のリハビリテーションに従事。現在、東京のベスリクリニックで睡眠外来を担当。著書は『脳のトリセツ』(同文舘出版)など。

[日経WOMAN 2015年8月号記事を再構成]

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