55歳で考える老後のマネープラン 40年後まで視野

会社員生活をどう締めくくり、どんな老後を過ごすか――。役職定年を迎えたり、子どもが独立したりする人が多い55歳という年齢は、その青写真が描きやすくなる。必要な老後資金を見積もったうえで、いつまで勤め、退職金などの金融資産をどう運用するかといったマネープランを考えよう。

「セミナーで老後のお金の試算を示すと、急に深刻な表情になる人が多い」。企業のシニア社員向け研修などで講師を務めるライフワークス(東京・港)の岡田保美氏はこう話す。

60歳で定年退職したり、定年前に早期退職したりして悠々自適の生活を送りたいと思う人は少なくないだろう。しかし収入の当てがないまま退職すると、老後資金が不足する可能性がある。金融広報中央委員会の調査では50代の金融資産は1世帯当たり平均1124万円。60歳で退職し、大卒で勤続35年以上の平均退職金2156万円をもらっても、満額の年金が出る65歳まで5年間を無職・無収入でいると、日々の生活費だけで金融資産が1455万円まで減る計算になる。

楽観できない年金

年金の受給が始まっても楽観できない。総務省の家計調査では夫65歳以上、妻60歳以上のリタイア世帯の平均月収は年金を中心に20万7347円。支出は月26万8907円なので差し引き月6万円あまりの赤字だ。1455万円を取り崩して埋めていくと夫が85歳時点で蓄えが尽きる。夫婦のどちらかが要介護になったりインフレが進行したりすれば、金融資産がゼロになる時期は早まりかねない。

60歳以降も働く場合はどんな勤め方を選ぶかがポイントになる。独立行政法人の労働政策研究・研修機構(東京・練馬)の調査によると、継続雇用の給与水準は定年時を100とした場合、平均68.3に下がる。企業規模が大きいほど下がる傾向があるという。

定年再雇用の制度は会社によってばらつきが大きい。岡田氏は「フルタイム勤務のほかに、週2~3日の出勤を認める会社もある。60歳以降にどれくらいの収入が必要になりそうかをよく考えておこう」と助言する。法律で雇用継続の義務がある65歳まで1年ごとに契約を更新する会社が多いので、老後の生活に困らないマネープランが描けるなら早めにリタイアする選択肢もある。

「早めに運用経験」

一方、老後の支出を見積もる際は物価上昇の影響を考えることが欠かせない。日本人男性の4人に1人は90歳、女性の4人に1人は95歳まで生きるため、夫婦の老後のマネープランは95歳までの40年間で立てるのが無難だ。インフレ率が日銀が目標とする年2%で推移した場合、40年後の物価は現在の2.2倍になる。これに備える手段の一つが資産運用。ファイナンシャルプランナー(FP)の大竹のり子氏は「老後は『お金の寿命』を延ばすことが大切。少額ずつでも早く始めて経験を積むといい」と話す。

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