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「入院1日目から出る」医療保険をありがたがる愚 本当に役に立つ医療保険の選び方(1)

2015/9/4

日経マネー

 「日本人は保険に入り過ぎ」と言われたのは、ひと昔前の話。最近はむしろ“保障不足”が目立つという。家計相談のプロ・藤川太さんと医療現場にも詳しい塚原哲さんに、本当に必要な医療保険の選び方を語ってもらった。2回に分けて紹介する。今回は、医療保険に加入しない若者が増えている背景と、保険選びの基本的な考え方を解説する。

藤川(以下、藤):2000年代と10年代とを比べると、保険の加入状況は大きく変わっています。生命保険も医療保険も、若年層を中心に未加入の人がぐんと増えました。ほんの十数年前までは、“かけ過ぎ”ばかりだったのに…。

塚原(以下、塚):何にお金を使うかの価値観が変わったんでしょう。今の若者はクルマや保険にお金をかけない。優先順位が高いのはスマートフォン(スマホ)です。

藤:20年前であれば、家庭の毎月の支出を見ると保険料が3万円、通信費は8000円というイメージ。今は両者が逆転して通信費が3万円、保険料が8000円という家庭が増えています。食べたいものを我慢してでも、最新型のスマホを使いたいという人も少なくないですからね。

(写真:大高和康)

■“保険デビュー”の機会喪失

塚:保険に加入するシチュエーションも変わりました。昔は新入社員として会社に入ると、大手生保の職域営業、つまりは「保険のおばちゃん」が声をかけてきて、そこで保険に加入するケースが圧倒的に多かった。

藤:“セット営業”ですね。気が付けば職場の人が皆同じ内容の保険に入っていたりする。「毎月いくらまでなら払える?」と聞かれて「1万円」と答えると、そこから逆算したプランを組んできましたね。

注:民保(かんぽ生命を除く)に加入している世帯が対象。病気やケガで入院したり所定の手術を受けたりした時に給付金が下りる生命保険、あるいは特約が付加された生命保険であり、損害保険は含まれない(出所:生命保険文化センター調べ)

塚:“説得営業”でもあります。誰かが課長や部長に昇進したら、「偉くなったんだから、それなりに保障も増やさないと駄目よ」と説得にかかる(笑)。

藤:けれど00年代の前半には、そうした職場での営業活動が、セキュリティー面も含め、会社の労働組合から問題視されるようになりました。一方で企業間の株式の持ち合い解消も進んだ。会社に出入りする職域営業の人数は持ち合いの株数にも左右されていたので、保険のおばちゃんの活動は著しく制限されました。個人情報保護法が施行され、個人情報の流出に敏感になったという側面もあります。

塚:結果として、保険との最初の接点がなくなってしまった。

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