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マネー研究所
日経マネー 特集セレクト

2015/9/4

日経マネー 特集セレクト

藤:今“保障不足”の人が多いのは、それが一番大きいと思いますよ。もちろん、最近はFPの中にも「保険は要らない」と言う人がいますし、「生命保険や医療保険には入らなくてもいい」と考える層が広がっているのも事実ですが。

塚:興味のある人は自分から保険ショップに足を運んだりしていますよね。中には、本当によく保険のことを調べていて、詳しい人も増えている。

藤:とはいえ家計相談に来る人を見ていると、保険ショップやネット通販などで自分から保険に加入した人が3割くらい。残りの7割の半分は営業員経由で加入、半分は未加入という感じですね。

入っていないと大変な人も

ふじかわ・ふとし 2001年以来、約2万世帯の家計を診断してきた「家計の見直し相談センター」を運営する生活デザイン株式会社代表取締役。CFP。個人向け相談サービスの他、新聞・雑誌・書籍などの執筆などでも活躍 (写真:大高和康)

塚:「1億総中流」と言われたのは過去の話。今の日本は格差社会ですが、お金のない人ほど、保険に入っていないといざという時に大変です。そういう人に限って公的保障に関する知識も乏しく、何かあると一気に困窮してしまう。

藤:前にね、あるご遺族から相談を受けたことがあるんですよ。遺族年金をもらっても生活費が全然足りない、と。要は、亡くなった一家の大黒柱が十分な死亡保障を確保していなかったんです。とはいえ、亡くなってから「どうにかしてください」と言われても、どうすることもできません。

塚:そういうのはつらいですね。

藤:医療保障は国の健康保険があるからと軽視されがちです。確かに理論的にはお金があれば不要でしょう。でも、相談者から「私は要らないですよね?」と尋ねられても、FPの立場だと「要りません」とは言いにくい。だって、将来にわたって今の生活が維持できるとは限らないでしょう。

万一の時に「あの時、あなたが『要らない』と言ったから入らなかったんだ」と訴訟を起こされたら、負けるかもしれない。日本ではそういう訴訟はまだありませんが、海外では出てきています。

塚:医療保障が要らないという人の大きな論拠になっているのが、最近の入院期間の短期化です。「平成23(2011)年 患者調査の概況」(厚生労働省)によると、病院を退院する患者の平均入院日数は34.3日でした。意外に短いという印象を持つ方も多いでしょう。入院1日当たりの自己負担額は平均で1万5000円前後かかりますから、1入院トータルの医療費はざっと50万円。「それくらいなら、預貯金で賄えるだろう」という理屈です。

藤:しかし、その50万円の負担が重過ぎるという人は、保険に入っておかないと。50万円が払えない人もいれば、10万円でも困る人、あるいは100万円になるときついという人、色々いるでしょう。医療保障は本来、そうした個々のリスクに応じて確保すべきなんです。

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