「ふせん」を使って、ひとり時間を捻出しよう
「時間があったらしよう」では結局できない
「ひとり時間を作りたいけれど、忙しくて無理」と思っている方はたくさんいるでしょうが、時間=貯金だと思えば、認識が少しは変わるかもしれません。
毎月の給料を一定額、天引きで貯金している人と、「余ったら貯金しよう」と思っている人では、貯金額に雲泥の差が生じますよね。
「余ったらためよう」
「時間ができたらやろう」
ではなくて、
「ためるためにいくら貯金するか」
「時間をつくるためにどう優先順位をつけるか」
を考えておかないと、結局忙しさに流されてしまい、いつまでたってもひとり時間を作ることができません。自分の「ひとり時間」の予定を他の人との予定と同列に考えるくらい「ひとり時間をつくる」ことに執念を持たないと、実は難しいものです。
とはいえ、どうしても相手の都合を優先してしまって難しい…という方のために、1つの行動で2つのことをして時間を短縮する頭の体操を提案します。題して「時短二毛作作戦」です。
「二毛作」は、おそらく小中学生の時に聞いたことがある、懐かしい言葉かと思います。二種類の作物を同じ土地で栽培することを言いますが、これを朝や夜の、比較的自分の自由がきく時間帯に応用するのです。
例えば、次のようなことができます。
・朝起きてメールを確認しながら顔にシート状のパックを乗せて肌の手入れ(ただし、その様子は決して他人に見せられませんが…)
・化粧をしながら朝食を作り、テーブルを片付けながらオーディオブック(耳で聴く読書)で勉強をする
・テレビを見ながら、ストレッチ
特にオーディオブックでの勉強はオススメです。目や口を使っていても、耳は意外に空いている時間が長いので、ぼーっとしながらでも学べるので気に入っています。
もちろん、リラックスしたい時間までオーディオブックで勉強するのは疲れる、音楽を聴いたりゆっくりする時間に充てたい、という方はそれでも構いません。「音楽を聴いてリラックスする」+「家事をする」という組み合わせも立派な二毛作ですし、私も音楽で気分を切り替えることはよくあります。
一見同時にできないことも工夫次第で可能
に
ここまでは比較的普通の工夫なので、皆さん既に実行されていることが多いかもしれません。私が聞いた中で面白いと思った二毛作にはこんなものがあります。
・電車で移動中、立っているときには必ずお腹とおしりをキュッと引き締めるエクササイズをする
・朝子供を起こす+自分の顔の体操を組み合わせる(「アエイウエオアオ」と大声を出して顔のストレッチをする声を、子供に目覚ましだと思わせて起こす)
・家のタオルをカラフルなものにして、たたむときに子供の前でヒラヒラさせてからたたむ(洗濯物をたたみながらも、子供はママと遊んでいると思ってくれる)
このように、工夫すればいろいろ時短アイデアは見つかるものです。
時短アイデアを発見するには「ふせん」が便利
「この作業とあれを組み合わせたら二毛作になるかもしれない」と、あれこれ考えるのもなかなか楽しいですし、頭の体操になるので、発想が柔軟になる効果があります。しかし最初は頭が固くて、二毛作がなかなか浮かばない、という方も多いでしょう。そこでおすすめは、「ふせん」を上手に活用することです。
ステップは3つです。
1.いつもしているルーティン作業を思い出し、「1作業1ふせん」で、「作業と作業時間」について記入する(例えば「洗濯ものをたたむ 10分」「朝食の準備をする 20分」「食器を洗う 15分」「テレビを見る 30分」など)
2.本当はやりたいのにできていないことを、1とは違う色のふせんに同様の要領で記入する(例えば「運動する 1時間」「子供と遊ぶ 30分」「新聞を熟読する 30分」など)
3.これらのふせんを、似た時間や作業のタイミングを意識して、くっつけてみる
この作業を試してみると、ひとつひとつの作業自体をばらばらに考えることができるので、思いもよらない組み合わせを考え付くことができます。
以前、講座でこのワークをした方は、
「早起きができない」
「運動する時間がない」
「忙しくて子供と遊ぶ時間がない」
という悩みを抱えていましたが、このワークで早起きして子供と一緒に散歩することによって、早起き+運動+子供と遊ぶ、が同時にできるようになったと聞いています。
頭の体操にも最適なこの方法、ぜひ工夫してあなたなりの二毛作を探してみて下さいね。
Before 9(ビフォア・ナイン)プロジェクト主宰、CONECTA代表。図を活用した思考整理/情報発信/時間管理/目標達成手法を著書や講演、企業研修などで伝えるかたわら、朝9時までの時間を有効活用するための早朝セミナー「Before 9プロジェクト」を2008年より開催。ベストセラーとなった『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』(マガジンハウス)は、朝4時に起きる「ヨジラー」急増のきっかけとなる。『「ひとり時間」で、すべてがうまく回りだす!』(マガジンハウス)、『朝活手帳』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など時間管理に関する著書多数。
[nikkei WOMAN Online 2015年7月10日付記事を再構成]
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