マネー研究所

マネー女子力

親の介護で仕事を辞めると高リスク 女性の「おひとり老後破産」を防ぐ3つの極意(3)

2015/8/6

日経ウーマン

 ずっとシングルの人だけでなく、結婚している人も、離婚したり夫に先立たれたりして、おひとりさまになる可能性はある。経済的に行き詰まることなく、ひとりの老後を幸せに過ごす3つの極意。最終回は「親の介護で仕事を辞めない」です。

■介護離職せずに済む方法を探そう

 40代以降、介護を理由に仕事を辞める女性が増えてくる。厚生労働省の雇用動向調査(2012年)によると、介護を理由に離職した女性は年間5万人を超え、男性の4倍以上。働く女性のなかには、「私が仕事を辞めて面倒を見るしかない」と考えている人が少なくないが…。

 FPの塚原哲さんは「介護離職の経済的なデメリットも知っておこう」とアドバイスする。

 下のグラフからも分かる通り、介護で離職すると家計の収支は大きく悪化し、老後破産の引き金に。とりわけシングル女性の場合、仕事を辞めると親の年金に頼る生活になる。貯蓄ができず、老後に受け取る年金も減るなど、リスクが大きい。

 「一方、辞めずに施設介護を選択した場合は年180万円の介護費用が発生しますが、親の年金に加えて自分の給与収入もあるため、貯蓄の減少を最小限にとどめられます。退職せずに、なんとか仕事と介護を両立させる方法を考えましょう」と塚原さん。

 そのためにはまず、介護休業などのサポート制度を確認すること。独自の支援策を導入している企業もある。「離れて住む親の介護に悩んで職場の人事担当に相談したら、実家近くに転勤させてもらえたという例も。仕事を続けたいという意欲さえあれば、きっと道は開かれます」(塚原さん)


■介護で仕事を辞めると64歳で家計が破綻?

注)FP塚原哲さんの試算による。試算開始時の年齢は夫35歳、妻33歳。年収は夫400万円から年1.6%、妻300万円から年1%ずつ昇給。妻が30歳で第1子、32歳で第2子出産。妻が37歳のとき3500万円の住宅を購入し、以後住宅ローンを年150万円返済(返済期間20年)。妻が50歳のとき親の介護が発生、10年間続き、施設介護では月15万円を負担した。

 上のグラフは、親の施設介護を選んで仕事を続けたA子さんと、仕事を辞めて在宅介護をしたB子さんの、一家の貯蓄額の推移を試算したもの。離職すると妻の収入はゼロ、退職金や年金の額も減るなど、家計は大きな打撃を受けてしまう。お金の面では辞めないほうが有利という結論に。


【実家シングルは親の年金だけで生活】 

 シングル女性が仕事を辞めて実家で親を見る場合、自分の収入がなくなるため親の年金に頼ることに。親の年金だけで親子2人が食べていけるか、考える必要がある。「実際は貯蓄を取り崩しながらの生活になることがほとんどです」(塚原さん)

【介護終了後は収入がゼロに?】

 介護が数年で終了した場合、もう一度働きたくても、年齢や職種によっては難しい可能性もある。仕事がなければ、自分が年金をもらうまで収入がゼロという恐れも。「離職したことを後悔する人も少なくありません」(塚原さん)

【自分の老後の年金も減る】

 仕事を辞めると厚生年金への加入期間が短くなるため、自分が老後に受け取る年金も減ってしまう。「退職を決める前に、少なくとも親の年金額や貯蓄額などを確認し、介護が終わった後の自分の生活も考えてみることが大事です」(塚原さん)

介護期間はバラつきが大きい 平均は4年9カ月
 介護に要する期間は平均すると4年9カ月。ただし1年未満と短い場合や、逆に10年以上の長期に及ぶ場合も珍しくなく、事前に予想するのは難しい。生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」(12年度)より

マネー研究所新着記事

ALL CHANNEL