旅行・レジャー

日本の歩き方

札幌ススキノ・円山で、夜に楽しむ大人のぜいたく 北海道スイーツ

2015/7/24

 札幌の眠らない歓楽街、ススキノ。その周辺には夜遅くでも甘い物を堪能できる店がたくさんある。飲食店からホテルや商業施設まであらゆる店舗が混在する街を映してか、スイーツ店も実に多種多様。そうした店を営む人たちも、これまたユニークな人ばかりだ。家族旅行のついでにとはいかないけれど、出張時の楽しみとして訪れてはいかがだろうか。ほかの街では出合えないディープな夜のスイーツ、ご賞味あれ。
濃厚なアイスクリームにリキュールをかけて食べる

 アイスクリームにお酒をかけて食べる、それも高級酒を――。こんな店があると聞き行ってみた。その名も「アイスクリームBar HOKKAIDOミルク村」。すすきののランドマークである「ニッカの看板」のすぐ前、素っ気ない雑居ビルの6階にある薄暗い店に足を踏み入れると、ファンシーな雰囲気に驚くが、店内にはシャンソンが流れ、居心地は悪くない。

 1390円のAセットを注文した。ジョッキを横半分にスパッと切ったような容器に淡いオレンジ色のアイスクリームがたっぷり。それにリキュールが入った小さなグラスが2つ添えられてきた。「まずはアイスクリームをそのまま一口食べてみてよ」とオーナーの岩村宗市さん。濃厚なミルクの味が、さっぱりとしたオレンジの香りとともに口に広がった。

 今度はアイスクリームをスプーンに取り、リキュールを少しかけて味わう。まず、ブランデーの強い刺激が舌を刺し、すぐにアイスクリームのまろやかな甘みが包み込んだ。先ほどとはまったく別物の「大人スイーツ」だ。

 「それ、1本30万円のリシャール・ヘネシーだよ」と岩村さんがニヤリと笑う。ブランデーを飲み慣れない記者でも、すぐにそれとわかる芳醇(ほうじゅん)な味と香り。ふりかけるリキュールは超高級ブランデーも含め、130種類以上もあるという。

 岩村さんは65歳。20代でフランスに渡り洋菓子店で修業した。地元の愛媛に戻って洋菓子店を経営したが、スキーで訪れた北海道の牛乳のおいしさにひかれ1995年、ススキノの雑居ビルの地下1階にミルク村を開店。3年後、今の場所に移った。お酒やリキュールをかけて味わうスタイルは、最初の店がバーの居抜きだったことで生まれた。アイスクリームは帯広産の高級ミルクを使用。お酒に合うようにと研究を重ね、オレンジの香りが特徴のリキュール、コアントローをアイスクリームに練り込む。

 友人と一緒に訪れた大学生の女性は「先輩から隠れ家みたいなかわいいアイスクリーム屋さんがあると聞いてやって来た。木いちごのリキュールがおいしくて、早速友達に勧めたい」と話す。午後5時から午前0時まで営業。「アイスクリームはおかわりできるので、皆さん1時間ぐらい楽しんでいきますよ」と岩村さんは話す。

「落花生のクリーミージェラート ほろ苦く香ばしさ溢れるパルフェ」

 

 高級レストランに行かなくても、レストランデザートをお酒と一緒に楽しめる……。こんなコンセプトで2013年9月、市営地下鉄すすきの駅からも近い場所にオープンしたのが「ドルチェテリア HASSO(ハッソウ)」だ。札幌の有名イタリアンレストラン「oggi(オッジ)」(現在、ビル改装のため休業中)からスピンアウトして、パティシエの大沢佳代さんが店を開いた。

 看板メニューの「落花生のクリーミージェラート ほろ苦く香ばしさあふれるパルフェ」(1200円)はまさに大人の逸品。シャンパングラスに落花生のジェラートとコーヒーのジュレ、それに塩キャラメルのわらびもちとカラメルでコーティングしたライスパフを重ねた。

 落花生のジェラートは皮をむいて、牛乳と生クリームに1日浸し香りを移してから、身の部分は取り除く。こうすることで香ばしい風味だけを取り出した。コーヒージュレの苦みや塩キャラメルの甘みが重層的に広がる。それでいて不思議なまとまりがあった。

 「このパルフェ、甘さ抑えめなのでデザートワインが一番合いますよ」と大沢店長。勧められるがままシチリア産のマスカットから作ったというデザートワイン(1000円)を頼んだ。甘い物同士、口の中でケンカするのではと思ったが、すっきりとした後味のデザートワインと絶妙な組み合わせだった。午後4時から翌日の午前1時まで営業、つまみ類やパスタも充実しレストランとしても使える。

 

バールではジェラートだけでなく、食事やお酒も楽しめる
オーナーの時崎さんは毎日6種類のジェラートを自作する

 ススキノからすぐの狸小路商店街にある「ラ・ジョストラ」は本格ジェラートを提供する「バール」だ。バールとはイタリアの生活に溶け込んだカフェ・バーのこと。オーナーの時崎仙浩さんは本格的なバールを作るため、イタリアに何度もホームステイし、家庭の主婦からレシピを一つ一つ教わってきた。

 なかでも自慢はイタリアの菓子職人から作り方を聞いたジェラート(1フレーバー370円)だ。函館産の低温殺菌した牛乳を使い、毎日6種類を手作りしている。「中高年のサラリーマンが飲んだ後に来店して、ジェラートを食べてくれるとすごくうれしい」と時崎さんは語る。イタリアンバールの日常風景だからだ。営業時間は午後2時から翌午前0時半まで。午後6時以降は予約できず、食事をする人が優先で着席できる。

 

 札幌市中心部から車で10分ほど。高級住宅街、円山地区の大通りから一本道を入ったところにあるのが「円山茶寮」。オーナーの村田建治さんが30年ほど前に築30年の民家を借りて開業した。

 田舎のおばあちゃんの家とでもいうのだろうか、古民家の構造とレトロな雰囲気を生かした喫茶店だ。「自分だったら行くな、という考えで作ったら、こうなったんだよね」と村田さん。9年ほど喫茶店やコーヒー専門店などで修業し、27歳の時に理想的な古民家を見つけて開業した。

高級住宅街にひっそりとたたずむ円山茶寮
円山茶寮では夜遅くにぜんざいが楽しめる

 看板メニューは奥様が作るぜんざいだ。人気の「いちごぜんざい」(950円)はいちごのアイスの上に自家製のあんこをのせ、その上にストロベリーソースをかけた。いちご大福からヒントを得たというだけあり相性は抜群だ。

 アルバイトは雇わず、夫婦2人で午前11時から午前0時まで営業している。定休日は木曜だけ。「なぜそんなに遅くまでやっているのですか」と聞くと「夜9時とか10時に仕事が終わって、お酒も飲みたくないし、家に帰りたくないっていう日あるでしょう。どっかにいい喫茶店ないかなあって」と村田さん。夜が更けても、客がポツポツと入ってきた。

店舗住所と連絡先
店名住所連絡先
アイスクリームBar HOKKAIDOミルク村札幌市中央区南4条西3の7の1
ニュー北星ビル 6階
011-219-6455
ドルチェテリア HASSO(ハッソウ)札幌市中央区南2条西5の31の4
SCALETTAビル 3階
011-231-7778
ラ・ジョストラ札幌市中央区南3条西7の6の4
TANUKI SQUARE 1階
011-233-5110
円山茶寮札幌市中央区北4条西27の1の32011-631-3461

(札幌支社 横山雄太郎、石橋茉莉)

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