修理や緊急地震速報は…SIMロック解除「11の疑問」
知らないと損する「SIMロック解除」(下)
3キャリアとも契約の有無によらず、修理を受け付ける。ただし、通信回線などの問題解決にはSIMカードの発行業者への依頼を促されることも。代替機の貸し出しもするが、回線契約がない人にも対応するのはソフトバンクだけだ。
現時点では、他事業者のSIMカードを入れた端末では「緊急地震速報を含む『緊急速報メール』は使えない」(大手キャリア)という。TCA(電気通信事業者協会)では、「今後も引き続き事業者間で検討を継続する」としている。
購入から181日(6カ月)以上経過していれば、端末代金の割賦が終わっていなくてもSIMロック解除はできる。ただし、分割払いの料金が未納であったり、ネットワーク利用制限の対象になっている場合は不可。
SIMカードだけの新規契約は以前から可能だが、手続き時にSIMカードを使う端末などが必要になる。その際、周波数帯が対応していない端末や技術基準適合証明(技適)を受けていない端末の場合は、手続きできないこともある。
auの端末をSIMロック解除すれば、ドコモ系MVNOのSIMカードも認識するようになる。だが、周波数帯の問題があり、現状ではすべてのサービスを受けられるわけではない。au系のMVNOを使う場合は、SIMロックの解除は不要。
SIMフリースマホは基本的に大手キャリアのSIMカードを認識できると思われる。ただ、周波数帯や技適(技術基準適合証明)などの兼ね合いから、現状でドコモだけに対応しているアンドロイド端末は多い。SIMフリー対応iPhoneは3大キャリアで使える。
3大キャリアに問い合わせたところ、auは「ノーコメント」、ソフトバンクは「未定」との回答。しかし、ドコモからは「今後発売されるiPhoneをドコモで取り扱う場合、SIMロック解除の対象にする予定」という回答を得られた。
SIMカードのサイズには標準、micro、nanoの3種類があるため、組み合わせによっては使いたい端末と合わない場合がある。そうした場合は、キャリアやMVNOにSIMカードのサイズ変更を申し込むのが近道。サイズ変更は手数料が必要な場合が多い。
端末を中古ショップへ売ることを考えた場合、SIMロック解除した端末のほうがより高い値が付く可能性がある。特にドコモやソフトバンクなどは回線の解約から3カ月、もしくは90日を過ぎるとSIMロック解除ができなくなるため、早めに手続きしておいたほうがよさそうだ。
他社の端末や他社のSIMカードと組み合わせた場合の動作に関しては、各キャリアとも「音声通話、データ通信を含め一切の保証をしていない」という回答。実際の使用も難しそうだ。ただ、各社ともパソコンなどのブラウザーで使えるウェブメールサービスを提供している。
現状のままでは端末価格はそれほど変わらない。だが、対応周波数帯などの課題が解決され端末と回線を自由に選べるようになると、継続利用を前提とした割引施策がなくなり、端末はほぼ定価で売られるようになるとみられる。
(日経トレンディ 佐々木淳之)
[日経トレンディ2015年8月号の記事を再構成]
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