マネー研究所

20代から始めるバラ色老後のデザイン術

賃貸物件選び、家賃は手取りの4割以下に 賃貸生活のマネープラン(2)

2015/7/14

 大卒初任給が約20万円といわれますが、実際の手取額はこれより少なくなります。所得税・住民税・社会保険料を引かれると手取りは16万円ちょっとです(入社初年度は住民税がかからないので、手取りがもう少し増える)。

 20万円の給与から3割とすれば、6万円、手取りの16万円の4割相当額とすれば6.4万円が家賃の上限イメージということです。

 もし、6.4万円を家賃に回してしまうと、公共料金や日々の食費、遊びに回せる予算は1カ月あたり10万円も残りません。これはなかなか大変です。スマートフォンやプロバイダーに払う通信費に1万円、電気・ガス・水道などの光熱費に1万~1.5万円、食費に約4万円、日用品や薬代などに1万円、遊びやつきあいに2万円くらい回すだけでほぼなくなってしまいます。

 実際にはクレジットカードの支払いや臨時出費などがあって、毎月ぎりぎりのつなわたりが続くことになるでしょう。もちろん貯金する余裕もありません。

■手取りの4割を超えるとかなりつらい

 若い人に賃貸物件選びのイメージを聞くと、「家賃は5万円くらい、できればそれ以下」という答えが返ってくることがあります。おそらく「5万円」というキリのいい数字でイメージしていることが多いと思います。

 しかし、これは20代の月収とそこから家計の配分を考えたとき、マネープランの観点からも妥当な家賃水準といえそうです。

 家賃は一度賃貸生活を始めると、引っ越しするまでずっと払い続けることになり、コストカットが難しい費用です。退去する際には別の部屋を契約するための費用や引っ越し費用もかかるので、「毎月の賃貸コストを1万円下げるために、何十万円も出費する」という厳しい選択になります。

 最初の賃貸借契約の際には、自分の収入のバランスにあった部屋を探すことが大切です。月収の3割ないし手取りの4割を超えてくると、かなり生活は苦しくなる、ということを覚えておきましょう。

■賃貸暮らしは最初はリーズナブルに始め、徐々にステップアップしていく

 賃貸暮らしをする年代において、つまりマイホームを購入するまでの時間において、考えなければならないのは「ちょうどいい家賃の部屋に住み、貯金もしていく」ということです。

 新社会人になった最初は、自分の年収に見合った家賃で借りることのできる、ちょっと狭い部屋で賃貸生活をスタートさせればいいのです。

 仕事に自信もつき、年収も少し増えてきたら、家賃の高い部屋に移ることで、広くて快適な生活を手に入れることができます。

 ステップアップというのは、マイホームでは実現できない賃貸生活の楽しさでもあります。マイホームは一度買ったら基本的にそのまま何十年も住み続けることになり、買い替えをしない限り、手狭で駅から遠い物件が広くなったり駅近になったりすることはありません。

 最初に背伸びして、高い部屋を借りてしまうことは避けてください。むしろ、高い部屋を借りるのは、20代後半から30代のテーマだと考えてみることです。

 さて、今週は主に新社会人の部屋選びを考えてみました。来週は、20代後半から30代にかけての賃貸暮らしのポイントを考えてみます。「手取りの4割ルール」は30代でも有効なのでしょうか。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ) 1972年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。AFP、1級DCプランナー、消費生活アドバイザー。企業年金研究所、FP総研を経て独立。商工会議所年金教育センター主任研究員、企業年金連合会調査役DC担当など歴任。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。論文「個人の老後資産形成を実現可能とするための、退職給付制度の視点からの検討と提言」にて、第5回FP学会賞優秀論文賞を受賞。近著に『20代から読んでおきたい お金のトリセツ!』(日本経済新聞出版社)。twitterでも2年以上にわたり毎日「FPお金の知恵」を配信するなど、若い世代のためのマネープランに関する啓発にも取り組んでいる(@yam_syun)。ホームページはhttp://financialwisdom.jp

20代から読んでおきたい「お金のトリセツ」! (日経ムック)

著者:山崎俊輔
出版:日本経済新聞出版社
価格:1,000円(税込み)

マネー研究所新着記事

ALL CHANNEL