地震保険のキホン 必要性よく吟味を

ある夕方、「たいきちマネー相談所」でバイトを終えた新衣紗が帰り支度を始めた途端、豪雨になりました。激しい雨を心配して鯛吉が初野家まで送り届けると、2人を出迎えた藤志郎の様子が変です。
大学で金融を勉強中の初野新衣紗(はじめの・にいさ=上)と父の藤志郎(とうしろう=中左)、母の利子(りこ=中右)、隣に住むファイナンシャルプランナー・税理士の有賀鯛吉(ありが・たいきち=下)

にいさ どうしたの?

とうしろう 今、グラっとしなかった?

にいさ 別に感じなかったよ。パパ、目まいじゃない? 年ねぇ。

とうしろう 失礼な!

たいきち 揺れたかどうかはともかく、地震への備えは必要ですね。揺れで被害が出るのはもちろん、地震で火事が起きても火災保険では補償されませんから。

にいさ だから地震保険があるんでしょ。

たいきち ご名答。でも地震保険は火災保険とセットで加入する仕組みになっていることは知ってる?

にいさ そうなの? なぜかしら。

たいきち 地震保険を制度として安定的に続けるためだよ。日本は地震国だけど地震が発生するリスクの度合いは各地で違う。リスクの高い地域の人だけが加入すると、約束した保険金に対し保険料が大きく不足するか、保険料を高くせざるを得ない。発生リスクの地域差が少ない火災保険とセットにすれば加入者が増え、保険料も低くできるという考え方だ。入るかどうかは個人の自由だけどね。

とうしろう うちが加入するとき、どの損害保険会社と契約しても保険料や補償内容は同じと言われたけど。

たいきち 地震の被害は深刻で広い範囲に及ぶ例が多いですよね。東日本大震災で地震保険金の支払いは1兆2千億円超に達しました。民間だけでリスクは負えないので、責任の一部を国が引き受けて地震保険は成り立ちます。官民一体だから原則として商品性に差がないのです。

とうしろう 家が倒れても建て替えられるのは安心だ。

たいきち そうした誤解が多いのです。地震保険は住んでいる建物や家財が地震や地震による火事、津波、噴火で受けた損害を補償しますが、建て替えなどの費用をすべて払うわけではありません。地震保険金は火災保険の30~50%で、建物と家財それぞれに上限額もあります。

にいさ それだけしか保険金は出ないの?

たいきち 巨大な被害が出る可能性が高い地震で、普通の火災と同じように保険金を出すのは難しい。大地震の直後、まず問題になるのは当面の生活資金だよね。公的な救済制度もあるけど、十分な額がもらえるとは限らない。地震保険金は公的制度とあわせて生活再建に向けた一時資金と考えるのがいいね。

注目記事