カフェで堪能、金沢ならではの極上スイーツ
古くから京都や島根県松江市などと並ぶ、和菓子どころとして知られている金沢。加賀藩祖の前田利家から始まる歴代藩主が茶の湯に大きな関心を持っていたことで、茶の湯に欠かせない和菓子の技術も培われたのだ。その影響で、庶民の生活のなかにも、和菓子をはじめとする豊かな甘味(スイーツ)の文化が花開いている。
こうした歴史的背景を持つ金沢の町には、和菓子屋はもとよりカフェも多い。100年以上続く加賀麩の老舗「不室屋」が手がけるパフェや、きんつばで有名な老舗「中田屋」が厳選した素材を生かして作る豆のタルトなど、老舗プロデュースのスイーツは聞いただけで食べてみたくなる。
一方、新顔カフェも、金沢らしい和魂洋才の魅力的なスイーツを手がけている。とりわけ人気が高いのは、加賀の棒茶を使ったスイーツ。棒茶は明治時代、金沢の茶舗が茎を焙(ほう)じたのが始まりで、香ばしく、透明感のある風味で一気に人気を呼んだという。ロールケーキやパンケーキの生地に練り込んでも、その上品な香りはたっぷりと味わえる。このほか、老舗の甘酒や醤油・味噌などを使ったユニークなスイーツもある。
ひがし茶屋街や香林坊などの観光の合間に立ち寄ってみよう。
和味(わみ) 東山茶屋街店
甘味やパティシエの作る豆の洋菓子も
1934(昭和9)年創業の中田屋といえば、北海道産大納言小豆を艶やかに炊いた粒あんたっぷりの「きんつば」がすぐに思い浮かぶ。ひがし茶屋街の一角、町家を改装したこのカフェでは、能登大納言きんつばや上生菓子など作りたての和菓子や甘味、またパティシエによるこの店限定の豆の味わいを生かした洋菓子が楽しめる。
古都美(ことみ)カフェ
地元の恵みで作る上品スイーツ
金沢21世紀美術館の近くに昨年開業したばかり。同美術館の影響でモダンな息吹も感じられる金沢にふさわしい、和と洋とを融合したスイーツがそろう。2階のカフェの窓からは美術館や金沢城の石垣、兼六園が見える。北欧のビンテージ家具のある空間でくつろごう。
不室屋(ふむろや)カフェ 香林坊大和店
加賀麩を生かした創作スイーツ
1865年創業の加賀麩の老舗「不室屋」。その加賀麩をはじめ、大豆から湯葉を作る際にできる豆乳を使ったアイスなどを生かした、創作スイーツで人気のカフェ。モダンなインテリアの香林坊大和店の窓からは、眼下に中央公園、遠目に金沢城公園などが眺められる。
甘味カフェ 茶ゆ
ご当地素材のアイスクリーム
能登の酪農家の生乳を使用し、ひがし茶屋街にある老舗の甘酒や味噌・醤油をはじめ、石川県内の素材で作られるアイスクリームを堪能できる。アイスショップの2階にある純和風のカフェで、竹炭入り最中やどら焼きで挟むアイスのセット、パフェなどを満喫しょう。
パンケーキカフェ fluffy(フラッフィ)
風情ある元お茶屋でパンケーキ
ひがし茶屋街の少し外れの小路にある、出格子の風情あるたたずまいの店。2階には元お茶屋らしい、鮮やかな紅殻壁の座敷。歴史を感じる建物で、作りたてのパンケーキを食べられるのがこのカフェの魅力。新鮮な地元の卵やバターミルクを使ったこだわりの味だ。
(ライター 金丸裕子 写真 山岸政仁)
[日経おとなのOFF 2015年5月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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