市内に点在する観光名所のなかでも北海道庁旧本庁舎は「赤れんが」の愛称で知られる。レンガ造りのネオ・バロック様式の建築だ。近接する商業施設「赤れんがテラス」が昨年オープンし、1階には道産小麦100%使用のベーカリー「coron(コロン)」が入る。シェフの高崎真哉氏が生産者を口説き落として手に入れたこだわりミルクを使うフレンチトーストを味わえる。
東京で修業を積んだシェフは2012年のコロン1号店開設のため、北海道に来た。その土地のパンにはその土地の食材が一番合うと考え、レシピに使うおいしいミルクを探していた。知人に勧められて出合ったのが「日本で最も美しい村」連合に加盟する赤井川村にある山中牧場でとれたミルク。初めて飲んだときのおいしさに感動し、「ぜひ使わせてほしい」とシェフが牧場に頼み込んだ。
水は一滴も使わずにミルクだけで練り上げたパン、ヴィエノワをミルクや卵、バニラビーンズを混ぜた砂糖の混合液に12時間漬け込む。焼き上げたフレンチトーストの上から山中牧場のミルクで作ったソフトクリームを乗せた「山中牧場ソフトクリームフレンチトースト」(378円)は1日20個ほどの限定商品だ。
スプーンでまずソフトクリームをすくって食べると、ひんやりする優しい甘さ。ソフトクリームが溶け始めたころあいで温かいフレンチトーストと一緒にほお張ると、染み込んだミルクの風味が口の中に広がる。赤れんがテラスに面する広場からは赤れんが庁舎を眺めることができ、ベンチに座って初夏でも爽やかな風を感じながら味わえる。
コロンのパンはインターネットで購入することもできる(http://www.coron-webshop.jp/shop/)。
家族や友人など大人数で訪れたいのが、「雪印パーラー本店」。ディスプレーに鎮座する4つのジャンボパフェに目を奪われるはずだ。気になっていた取材班(3人)は、4人ほどで食べられるという「I am a NO.1」(4760円)と名付けられたパフェに挑戦した。
オーダーから約10分、店員が両手で慎重に運んできた。通常サイズの10倍以上はあろうかという巨大な器に赤いフルーツカクテルが並々と。その上にアイスクリームが15玉も浮いている。だが、大量の生クリームが目隠しをしているため、全容をはっきりと見ることはできない。メロンやブラックチェリーなどの果物もぎっしりと詰まっていて迫力満点だ。
「食べきれないのでは」と弱気な声が漏れたが、懸念は最初だけだった。新鮮な生乳で作られたクリームのコクにスプーンを口に運ぶスピードは上がる。アイスクリームも抹茶やストロベリーなど味の変化があり、飽きない。フローズンヨーグルトとマンゴー味のシャーベットはまったりとさわやかのバランスが絶妙で、巨大スイーツは20分ほどで胃袋に収まった。
「最初はメニューじゃなかったんです」と話すのは、本店店長の山上純さん。街行く人の目を引くため、30年ほど前、当時の厨房チーフが遊び心から模型を並べた。ところが、「食べたい」という声が相次ぎ、商品化を迫られた。当初は「I am a NO.1」が最大だったが、客の要望に応じてより巨大なパフェが増えていった。
「北緯41度で出合う、本物のジェラート」――。JR札幌駅地下街「アピア」の一角にあるアイスクリーム店「ミルキッシモ」のコンセプトだ。本店やアイスの製造工場がある函館市は、イタリアの首都ローマと同じ緯度に位置する。原料には函館近郊で生産された牛乳や農作物を使う。
1つのカップにアイスを3種類まで盛りつけられるが、ショーケースには18種類も並び、選ぶのに悩む。人気は「ミルキッシモミルク味」。函館近郊で生産される「くりりん」カボチャを使った「かぼちゃくりりん味」も好評だ。1種類390円から。
混じり気のないミルクスイーツを味わいたいなら、札幌駅地下街「パセオ」に店舗を構える「ミルク&パフェ よつ葉ホワイトコージ」の「よつ葉の白いパフェ」(700円)がおすすめだ。デコレーションは排除され、アクセントは上に載ったミントの葉と棒状のクラッカーだけ。
農協系のよつ葉乳業の直営店で、新鮮な生乳が集まる十勝の工場から乳製品を直送。なかでも、賞味期限が4日ほどと足が速い生クリームは保存料などを含まない本物を味わえる。新鮮なミルクのコクに自信があるからこそ、混じり気なしのパフェで勝負する。グラスの最後の最後までソフトクリームがぎっしり。半分ほどの大きさのスモールサイズ(610円)も用意されている。
中心部から南西部に足を伸ばすと、イタリア語で“おいしい”という意味の言葉を2回重ねたチーズケーキ専門店「Buono Buono(ボーノボーノ)」がある。落ち着いた雰囲気の住宅街に紺色の看板がなじむ。
ショーケースには日高産チーズをはじめ、オーストラリアやイタリア、ドイツなど世界のこだわりチーズを使ったケーキが12~13種類並ぶ。伊藤麻紀子社長は「チーズの味を生かしつつ、できるだけ食べやすいケーキを作っています。2個食べてしまうお客様も多いですよ」と話す。
一番人気は「ケーゼ」(427円)。濃厚なチーズのコクの中に、隠し味のかんきつがふわっと香り、軽やかさを感じさせる。1種類には絞れないという人には、持ち帰り用にサワー、ニューヨーク、ゴルゴンゾーラ、エダムの人気4種がそろったアソートケーキ(1620円)のセットもある。
大切な家族や友人の誕生日や記念日を祝う人にはホールケーキの「アニバーサリー」(直径10センチのサイズで1458円)がおすすめだ。デコレーションの生クリームに少しだけチーズを混ぜた小ぶりのケーキは、送り手の思いを甘く彩ってくれる。
店名 | 住所 | 連絡先 |
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coron(コロン) 赤れんがテラス店 |
札幌市中央区北2条西4の1 赤れんがテラス1階 |
011-211-8811 |
雪印パーラー本店 | 札幌市中央区北3条西3の1 | 011-251-3181 |
ミルキッシモ 札幌アピア店 | 札幌市中央区北5条西4 アピア |
011-209-1319 |
ミルク&パフェ よつ葉ホワイトコージ 札幌パセオ店 | 札幌市北区北6条西2 パセオウエスト地下1階 |
011-213-5261 |
Buono Buono(ボーノボーノ) | 札幌市中央区南6条西24の1の18ワイズ南円山1階 | 011-552-5833 |
(札幌支社 石橋茉莉、宇野沢晋一郎、和田大蔵)