こんな時こそ「リバランス」、資産を守る効果あり

売却すると税負担や売買コストが発生することがある。リバランスは売却が不可欠ではなく、比率の下がった資産を買い増すことでも可能。毎月定額を積立投資している個人投資家rennyさん(ハンドルネーム、42)は「積立投資の際に比率が下がった資産を多く買うことで、元の比率に近づける」と話す。

自分でするのが面倒なら、国内外の資産に分散投資するバランス型と呼ばれる投資信託を買えば、自動的にリバランスをしてくれる。多くのバランス型投信は頻繁に配分を調整するため、成績の大きな上積み効果は見込みづらいが、リスクを一定水準に保つ効果は得られる。

リバランス効果を成績向上に生かすことを明確に狙う上場投信(ETF)もある。例えば「野村日本株高配当70」は70銘柄を同じ金額ずつ組み入れており、毎年1回見直している。等金額に戻すリバランスの効果を考慮して独自に算出した指数に連動する仕組みだ。

指数の上昇率は2000年末から今年5月までで238%になる。同じ期間の東証株価指数(配当込み)の上昇率は64%。「上回った174%のうち97%は銘柄を選んだ効果、残りの77%が等金額へリバランスした効果」(野村証券の塩田誠ETFマーケティング・グループ長)だという。

リバランスの前提は、基本となる資産配分比率をどう設定するかだ。カギになるのは株式の比率で、一例は「100マイナス自分の年齢」。長期では大きな上昇が見込める一方、変動が激しい株式の比率を若くてリスクがとれる時期は高くし、年齢が上がるにつれて下げていく考え方だ。

もちろん許容できるリスクは年齢だけで決められない。自分が耐えられる損失額がいくらなのかをまず考え、そこから逆算して株の比率を考える手法もある。

小松原氏は「金融危機のような局面では株は4割程度の下落がありうると考えるべきだ」と指摘する。そこで「株式の投資額×0.4=耐えられる損失額の上限」という式を設定する。自分が耐えられる損失額を300万円だとすると、株への投資額の上限は750万円と逆算できる。

「大事なのは決めたルールをきちんと守ること」と格付投資情報センターで企業年金のコンサルティングをする川村孝之フェローは指摘する。例えば金融危機後の09年。株価がさらに下げるとの懸念から多くの企業年金は「こんな時期に株は買えない」としてリバランスをためらった。「きちんとリバランスしなかった企業年金はその後の株価回復局面についていけなかった」(川村さん)

現在は高値圏にある内外株式も、今後米国の利上げなど様々な要因で、大きく調整する時期が来るかもしれない。その際は現在とは逆に、比率の下がった株式を買い増すリバランスを、怖さに負けずに粛々と実行することが大切になりそうだ。(編集委員 田村正之)

[日本経済新聞朝刊2015年7月1日付]

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