こんな時こそ「リバランス」、資産を守る効果あり

2015/7/5

Money&Investment

ギリシャ問題で揺れながらも高値圏で推移する株式相場。このまま持ち続けるかどうかの判断材料になるのがリバランス(資産配分の再調整)という考え方だ。株式など高くなった資産の比率を減らし、逆に債券など比率が下がった資産を買い増して元の配分に戻すことだ。長期的に成績の向上につながりやすい。

「日本株や外国株の一部を売って、国内債券を買い増すリバランスを実施した」と話すのは製薬会社で働く個人投資家のybさん(ハンドルネーム、42)。老後資金づくりのために国内外の株や債券に分散投資している。

基本とする配分比率は株式などが75%、国内債券が25%。時価変動により基本比率から5%以上乖離(かいり)したらリバランスをする。最近の相場上昇で株などの比率が8割に達したのでリバランスをした。

「リバランスの本来の目的は想定したリスク(値動きのブレ)の水準に戻すこと」(イボットソン・アソシエイツ・ジャパンの小松原宰明最高投資責任者)。株は値動きが大きく、値上がりで比率が高まると、資産全体のリスクも高まる。ybさんのリバランスの狙いも「値動きが大きくなりすぎると落ち着いて長期投資できないから」だ。

リバランスの結果、運用成績がいつもよくなるとは限らない。例えば株がずっと上がり続けるなら売らない方がいい。しかし相場が一方向に動き続けることは少なく、長期で見るとリバランスをした方が成績は向上しやすい(グラフB)。上がった資産を売って利益確定し、安い資産を買うことになるからだ。

リバランスの手法は主に2つある。1年ごとなど定期的に実施する方法と、基本とする配分比率から実際の配分比率が一定以上乖離したときに実施する方法だ。注目したいのは、どちらにせよ、あまり小刻みにやらない方が成績が向上しやすいことだ(図C)。

例えば毎月よりは1年、あるいは3年ごとの方がリターンは上がりやすい。同様に5%乖離でするよりは10%乖離でする方が成績はいい。「小刻みなリバランスは相場の流れに乗る効果が薄れる」(三菱UFJ国際投信の水野善公ネット・ETF推進部長)

個人投資家は例えば年に1度、誕生日や正月などに資産を見直すといった方法がよさそうだ。株高局面では「いったん全部売ろうか」などと迷うが、リバランスの考え方を知れば一時的な感情に惑わされずにすむ。基本の配分比率に戻すため一部だけを売ればいい。

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