モテ系はもう古い 「ハンサム女子」が人気日経BPヒット総合研究所 品田英雄

2015/7/2

ヒット総研の視点

日経BPヒット総合研究所

エンターテインメント、トレンド、健康・美容、消費、女性と働き方をテーマに、ヒット案内人が世相を切るコラム「ヒットのひみつ」。今回のキーワードは「ハンサム女子」です。ハンサムは通常、男性を形容する言葉ですが、今年はこうした雰囲気をまとった女性が増えているようです。

仕事柄、テレビ番組で女性タレントと一緒に出演したり、女性が集まる会合に呼ばれる機会がちょくちょくあるのだが、今年は集まっている女性たちの雰囲気が違っているように感じる。カジュアルというか、ラフというか、軽い感じが漂うのだ。

クールビズが女性にも定着したせいなのか、こちらが年を取ったせいかとも思ったが、ファッション誌の編集者の話では、流行が大きく変化しているためだと言う。ヘアスタイル、着るもの、足元、いずれも新しいものが増えている。背景にあるのは、“ハンサム”な女性たちの増加らしい。

「ハンサムな女性」とはどういう意味か。おじさんはどう接したらいいのか――。女性たちに解説してもらった。

(1)ボブディ

上から順に説明しよう。まずはヘアスタイル。

広瀬すず

このところショートヘアが大人気だ。芸能人でいうと、ブレイク中の広瀬すずから、きゃりーぱみゅぱみゅ、水原希子、ローラ、水川あさみ、蛯原友里、吉田羊まできりがない。中高年になじみ深いところでは、テレビ東京の大江麻理子アナも長い髪を20センチほど切り話題になった。

この流れは、海外とも共通している。ビヨンセやレディー・ガガ、テイラー・スウィフトなど人気歌手やセレブたちが次々と長い髪を切っている。

新しいキーワードとなっているのが「ボブディ」だ。ボブディとは、おかっぱやマッシュルームなどのボブ(ショートカット)と、ミディアム(セミロング)から生まれた造語。両者の中間のちょっと長いヘアスタイルということらしい。

ファッション全般が女性らしさを薄める傾向にあるので、女性らしさを強調する長い髪は着るものとそぐわないと、あるファッションライターは解説する。

女らしさを強調しすぎずに女性らしさを残すのがボブディといえそうだ。

(2)白コーデ

続いて、ファッション。

今年のトレンドは白。白を取り入れている人が目立つ。その中でもこれまでにない着こなしが、白のパンツにシンプルな白いシャツや白いTシャツを合わせる大胆なものだ。

白コーデの例

清潔感があって気合いが入るのでビジネスシーンにも合うと、ある編集者は言う。その一方、素材や形は進化していて動きやすい。

コストパフォーマンスが良くなっていることも支持される理由だ。1万円以上するシャツはおしゃれだが、汚れる心配が多かった。だが、最近はユニクロや無印のシャツの質が上がっていて、サイズさえ合えば十分魅力的な着こなしができるという。そんな女性たちが、この夏を爽やかにしているのだ。

(3)スポサン

スポサンとは、スポーツサンダルの略称。ビジネスシーンではまだ見かけることは少ないが、サンダルが着々と人気を拡大している。今年はかなり男っぽいものもおしゃれな女性たちに選ばれている。

ブランドでいうとドイツの靴メーカーであるビルケンシュトック。これまでは健康サンダルなどと思われ男性が好んでいたブランドだが、女性たちに選ばれている(色はかわいいもの)。ほかにも、ナイキやテバなどのスポーツ系メーカーが女性向けのサンダルを発売して、売れている。

ハワイアナス

ビーチサンダルも人気を伸ばしている。人気急上昇なのがブラジルのハワイアナス。ハリウッドスターが愛用していることから、日本でも人気になった。これまでならちょっと気取って出かける状況でも、ビーチサンダルを履く女性たちが増えている。

3つのアイテムに共通するのは「ハンサム」。女性から見て、かっこ良くてちょっと色っぽいという雰囲気だ(男前と表現することもある)。「モテの時代はとっくに終わった」と女性たちは言う。男性からすると、やさしさや色っぽさが足りない感じがするが、女性の受けはいい。女性の自立が進む時代には、女性らしさが減少するという研究もあり、そうしたことの現れとも考えられる。

気をつけたいのは、男性の反応だ。白いシャツを見て「カレー食べるとき気をつけないとね」とか、サンダルを見て「それで会社に来たの」とは言って欲しくないという。「涼しげだね」「歩きやすそうだね」というのが無難な反応だ。

だが、なんと言っても気をつけなければいけないのが、髪をショートにした女性に対する一言だ。「髪切ったんだね」と気づくのはOK。だが、その後に「何かあったの」は確実に好感度を下げる。この「何かあったの」は生まれてこのかた、何度も聞かれてうんざりしているという(女性同士でさえ)。

男性としては「何かあったの」はぐっとこらえつつ、「髪切ったんだね」で止めること。これを、女性たちから強く強く要望された。

品田英雄(しなだ・ひでお)
 日経BPヒット総合研究所 上席研究員。日経エンタテインメント!編集委員。学習院大学卒業後、ラジオ関東(現ラジオ日本)入社、音楽番組を担当する。87年日経BP社に入社。記者としてエンタテインメント産業を担当する。97年に「日経エンタテインメント!」を創刊、編集長に就任する。発行人を経て編集委員。著書に「ヒットを読む」(日経文庫)がある。
[参考]日経BPヒット総合研究所(http://hitsouken.nikkeibp.co.jp)では、雑誌『日経トレンディ』『日経ウーマン』『日経ヘルス』、オンラインメディア『日経トレンディネット』『日経ウーマンオンライン』を持つ日経BP社が、生活情報関連分野の取材執筆活動から得た知見を基に、企業や自治体の事業活動をサポート。コンサルティングや受託調査、セミナーの開催、ウェブや紙媒体の発行などを手掛けている。
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