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達人のワザ 梅雨の靴磨き、防水スプレー念入りにコロンブス 高橋晃一さん

2015/6/24

暮らしの知恵

身だしなみは足元からとわかっていても、靴の手入れはおっくうだ。高温多湿な今の時期、手入れを怠るとカビが生えることもある。靴用品メーカー・コロンブスの研究者、高橋晃一さんによると、ブラッシングしてクリーナーで拭き、靴クリームで塗り磨く3ステップで手入れするのが靴磨きの基本だ。週に1度、習慣化すれば「ピカピカ靴」を保てるという。
高橋晃一(たかはし・こういち)コロンブス松戸LABO研究担当 千葉県出身、44歳。1994年、コロンブス入社。靴クリームの研究・開発部門である松戸LABOで研究担当を務め、製品を開発してきた。新入社員や羽田空港内にある同社の靴磨き店で働くスタッフの指導も担当する。

――素材に合った靴磨きの方法や靴用品の使い方について、ちゃんと知っている人は多くないのでは。

「それほど複雑な作業ではなく、ブラシ、クリーナー、靴クリームと綿地の布があれば、基本的な手入れはできます。一般的なビジネスシューズに多い素材や仕上げ方法に適した基本的な手入れは、3つのステップをおさえましょう」

最初はホコリ落としから

「まずブラッシングで靴のホコリを落とします。ブラシは柔らかい馬毛や、コシのある豚毛ブラシを用います。初めに靴ひもを外し、ホコリで汚れやすいふち周りのコバと呼ばれる部分や、縫い目や足の甲のシワ部分に重点的にブラシをかけ、全体の表面的な汚れを落とします」

「次に、クリーナーで皮革に入り込んだ汚れをとります。クリーナーには、下地をつくってクリームの乗りを良くし、ツヤを与える効果もあります。綿地の布にクリーナーをとって、比較的目立たない靴の後ろ側から拭き、革に色味などの不具合が生じないか確認します。汚れや古くなったクリームを落とすように全体を拭いていき、靴の顔となる爪先は最後に拭きます」

「その後、靴クリームを塗ります。クリームは靴と同色かより薄い色を選びます。取る量は片足あたりコーヒー豆1つ分で十分です。補色ができる色付きのクリームなら、やはり目立たない部分から塗り広げましょう。最初は力を入れすぎず、クリームを乗せるように拭くのがコツです。全体を拭いて白っぽくなったら、乾いた布で包み込むように力を入れて磨きます。この3つの作業を1週間に1度行えば、普段は出かける前に全体を軽くブラッシングするだけで十分です」

梅雨時の注意事項

――雨が続く今の時期の対策を教えてください。

「3つの作業の仕上げや外へ出かける前には防水スプレーをかけましょう。皮革製品を十分乾燥させてから、靴を動かしながら薄くかけます。いったん乾燥させて、もう一度かけるとより効果があります。靴磨きの最後にスプレーをかけるまでを一連の作業として認識しましょう」

「温度と湿度が高くなるほど、革の大敵となるカビが繁殖しやすくなります。梅雨時は特にカビが革に入りにくい環境にすることが大事です。カビが生えてしまったら、直ちに防カビ剤を含む専用のミストをかけて繁殖を抑えましょう」

――靴の保管方法で心がけるべきことは。

「靴を脱いだら乾燥剤を入れてしっかり内部の湿気をとります。乾燥剤がなければ、乾いた布や新聞紙をつめても代用できます。柄のついたブラシで内側の奥まで掃除することや、中敷きを入れておき、脱いだら出して乾燥させるのもカビ対策になります」

「梅雨時に限りませんが、靴を休ませることも意識しましょう。中2日あけて履くのが理想です。最低3足あれば、ローテーションで回していくことができます。汚れを取るのを習慣化し、晴れた日があれば、直射日光を避けて風通しの良いところで陰干します」

――なぜ靴の手入れを仕事にしたのですか。

「大学時代に有機合成を専攻し、化学の力でものづくりに携わりたいと考えていました。靴のクリームは多種類の化学物質で構成されていて、成分によって生産工程や容器も異なる多様な製品になります。化学反応を研究して、新たな製品を開発したいと思ったのがきっかけでした」

「靴のクリームの開発に力を入れながら使い方を提案しているうち、上手な靴の磨き方を社内のスタッフに指導するようになりました。靴の手入れを意識していない人は多いのですが、足元は他人からしっかり見られていることに気づいてほしいと思っています」

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