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猫人気、「ネコノミクス」増殖中 共有願望で情報発信

2015/6/21

猫人気が止まらない。スマホアプリや本をのぞけば、ここにもそこにも猫がごろごろ。ネットを原動力に、コンテンツ世界の王者になりつつある。
スマホゲーム「ねこあつめ」では、箱に入ったりする猫の姿が楽しめる。

庭先に餌を置く。猫が食べに来る。その姿をただ眺める。あぁ、幸せ……スマホの中だけど――。スマホゲーム「ねこあつめ」が500万ダウンロードを超すブームになっている。内容は単純。餌をあげて放置するだけ。基本は無料だ。京都の小さなゲーム会社ヒットポイントが開発した。担当した高崎豊さんは「プロジェクトの合間につくった。自分が猫好きなので、段ボールに猫がぎゅうぎゅうに入ったりする習性をゲームに盛り込んだ。でもこれほど人気になるとは」と驚きを隠さない。

飛び猫、ぽちゃ猫、ニャンダフル……。猫本も増殖している。2014年は書籍「人生はニャンとかなる!」がベストセラーに。出版科学研究所によると、ペット写真集は14年は前年のほぼ倍の86点。そのうち猫が45点を占め、犬は19点だった。出版不況の中で「確実に売れる猫本発行ノルマを編集者に課す出版社もある」(出版関係者)とされ、困ったときの猫頼みの様相だ。

■主役ドラマ映画化

外国人にも人気があるネコグッズ(東京都台東区のネコグッズ専門店「のら 谷中店」)

猫が主役のテレビドラマ「猫侍 SEASON2」も映画化が決定。ワイモバイルの「ふてネコ」など猫CMも増えている。猫が多く「猫の聖地」ともされる東京・谷中の猫グッズ店には訪日外国人も多く訪れる。猫本専門の神保町にゃんこ堂の姉川夕子さんは「ここ2年くらいで猫ブームが来ている」と話す。

なぜ猫か。通販のフェリシモには肉球の香りハンドクリームなどを販売する「猫部」があるが「犬部」はない。猫が窓辺に立つ「ねこまど」サイトを運営するYKKAPも、過去に「いぬまど」を開設したが人気不振ですぐ終了した。猫好きの間では「犬好きは自分の犬が好き、猫好きは猫なら何でも好き。だから猫市場のほうが大きい」という通説になっている。

だが、今の猫ブームには社会構造の変化も関わっているようだ。ペットフード協会の調査では猫の飼育頭数が増える一方で、犬は減少している。ペットと高齢者の関係に詳しい横浜国立大学の安藤孝敏教授は「核家族化や単身世帯の増加で、犬を飼うのが難しくなった。高齢化に伴い散歩が必要な犬の飼育をためらう人も多い」と分析する。

自ら猫コンテンツを発信する人の増加も、市場膨張に拍車をかける。猫は室内飼いが増え、今や7割超。「飼い主が猫のかわいさを他人に伝えたい欲求が強まっている」(安藤教授)という。そしてSNSや写真共有アプリがそれを可能にする。米国で企業価値850億円と報道された動画サイト「バズフィード」も、猫画像の拡散で急成長したのだから猫パワーは侮れない。

■江戸時代にブーム

過去をさかのぼれば、江戸時代にも浮世絵や芝居を舞台に猫ブームが起きていた。名古屋市博物館の学芸員・津田卓子さんによると、平安時代には猫は綱でつながれた愛玩動物だった。安土桃山から江戸時代初期にかけて、都市化が進むとネズミ駆除が重要視され、猫の解放令が出た。その結果、繁殖し庶民に猫が行き渡ったという。「猫と寝食を共にして、魅力を人々が共有するようになった」と津田さん。社会の変化が猫ブームを起こす姿は現代に重なる。

そこから四百年余り。日本は猫コンテンツ大国となった。世界で活躍する「ハローキティ」は猫ではないらしいが猫っぽい。全米デビューした「ドラえもん」も耳をかじられた猫型ロボット。人気ゲーム「妖怪ウォッチ」の主力キャラクター「ジバニャン」も猫の地縛霊だ。時代を超えて人々を魅了し続ける猫。ネットという武器を手に“ネコノミクス”は眠るところを知らない。

■つぶやき1日26万件 うちの子自慢、「止まらにゃい」

短文投稿サイトのツイッターでは猫に関する膨大なつぶやきが見られる。6月1日~17日について調べると、「猫」というキーワードを含むつぶやきは、1日約26万件。2月22日の「猫の日」にはさらに増える。一方、「犬」を含むつぶやきは1日約12万件だ。

内容は様々だが、飼い猫の自慢も多い。「実家から届いた猫画像が大変可愛い。まじうちの子天使」「うちの猫がかっこよく決めてたときの画像置いときますね」など家の猫を撮影してネットに投稿する人が多く見られる。猫の「癒やし」効果もポイントのようだ。「精神的にも肉体的にも疲れきった私に癒しを!」などの声は多い。

男性では猫のゲームに関するつぶやきが女性に比べ多め。年代別では40代で、「アマゾン」「ベストセラー」などの関連語とのつぶやきが多く、猫本を購入している様子がうかがえる。

主な調査はホットリンクの協力を得た。

(福山絵里子)

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