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撤去費用に税負担 空き家相続、高まるリスク 司法書士 川原田慶太

2015/6/19

 空き家対策特別措置法が本格始動し、空き家を巡る相続の問題に改めて注目が集まっています。市区町村が踏み込んだ手続きをとれるようになったことで、結果的に相続人の負担が増えるようなケースも出てくるでしょう。

 「相続した家が空き家に…こんな物件はにらまれる」(5月29日付)でも紹介したように、危険な状態や不衛生な状態などが周囲に悪影響を及ぼす空き家に対し、適切な管理を求める監督体制が強化されています。程度のひどい物件は「特定空き家」とみなされ、より具体的な取り締まりの対象となるのです。空き家の所有者が亡くなっている場合は、相続人が行政からの指導などを受けることになります。

 さらに今回の特別措置法によって、行政はより踏み込んだ空き家調査ができるようになりました。例えば「固定資産税の納税義務者」の情報です。

 空き家の所有者を調査するとき、不動産登記情報は公開情報なので以前から、行政もアクセスできました。ただし、登記情報はリアルタイムなものとは限りません。相続による名義書き換えの手続きをとらずに、ずっと故人の名義のまま放置されている不動産も珍しくないからです。

 一方、納税義務者を特定するための情報は「実際に税金を納付させる」という大命題があり、課税庁は登記名義にかかわらず、より柔軟な形で情報収集しています。空き家になっていたり、所有者が代替わりしていたりしても、底地や建物の固定資産税が発生する以上は、誰かに払ってもらわないと困るからです。このため、独自に相続人などにヒアリング調査を行い、課税する部署が実質的な所有者や代表者を、新しい納税義務者として捕捉しているケースも少なくありません。

 つまり、登記上の所有者情報は古いままでも、納税義務者の連絡先はきっちりアップデートされており、この情報が空き家対策の調査に利用できるようになったのです。登記情報をたどるよりも格段に早く、物件の管理に関わっていそうな人物の居どころがキャッチできるようになったといえるでしょう。

 もうひとつ、空き家問題と固定資産税の納税に関連した話があります。今回の特別措置法と足並みをそろえるように、2015年度から空き家に関する地方税法が改正されています。住宅用地にかかる固定資産税は最大で6分の1に減税されています。従来は建物が空き家でもこの特典を使い続けることができましたが、これが「打ち切り」となる条件が新設されたのです。

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