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新種の恐竜レガリケラトプス発見、飾りはレトロ

2015/6/20

ナショナルジオグラフィック日本版

新種の恐竜レガリケラトプスの想像図(Art by Julius T. Csotonyi. Courtesy of Royal Tyrrell Museum, Drumheller, Alberta.)

 トリケラトプスに、新たな仲間が加わった。

 三角形の尖った骨が王冠のように並んだ独特のフリルから付けられた名は、「レガリケラトプス(学名:Regaliceratops peterhewsi)」。前半の属名は「王のような角を生やした顔」を意味し、後半の種小名peterhewskiは、10年ほど前にこの化石を初めて発見した地理学者ピーター・ヒューズ氏にちなんでいる。2015年6月4日付け米科学誌「カレント・バイオロジー」に掲載された。

 化石が見つかったのは、カナダの切り立った崖。固い岩石の中から重さ270キロの標本を削り出した古生物学者たちは興奮に包まれた。

「両目の上に短くずんぐりした角があって、コミックのキャラクター『ヘルボーイ』にそっくりでした」と、カナダのロイヤル・ティレル古生物学博物館の古生物学者で、研究チームを率いるケイレブ・ブラウン氏は話す。

 今回発見された新種の恐竜は、有名なトリケラトプスに比べると目の上の角はずっと小さい。だが鼻の上の角は大きく、頭部のフリルも特徴的だ。「フリルを縁どるこの装飾の大きさには言葉を失います。こんなものを見つけたら、ステゴサウルスの背板かと思うでしょうね」と、今回の研究には関わっていない古生物学者のデイビッド・エバンス氏は語る。

レガリケラトプスの頭部を囲む骨質のフリルは精巧にできている(Photograph by Sue Sabrowski, Courtesy Royal Tyrrell)

■レトロで個性的なフリル

 この新種恐竜レガリケラトプスが属するのは、角を持つ草食恐竜ケラトプス科のなかのカスモサウルス亜科。恐竜が絶滅する少し前、白亜紀の終わりごろに当たる約6800万年前に生息していた。

 レガリケラトプスは、当時の仲間たちのなかでちょっと変わっていた。トリケラトプスなど、同じころに生きていたカスモサウルス亜科の恐竜はそれほど派手ではなく、フリルはシンプルで目立った装飾はない。

 装飾的なフリルはむしろ、同じケラトプス科でも別系統のセントロサウルス亜科にみられる。レガリケラトプスより数百万年前に死に絶えたグループだ。

 レトロファッションのようなレガリケラトプスの頭部は、収斂(しゅうれん)進化の結果と考えられる。別系統の生物が同様の条件下に生息しているとき、それぞれ独自に進化して似通った特徴を獲得することがある。海中に暮らすサメとイルカが、ともに流線型の体をしていることもその一例だ。

■奇妙な新種が待っている

 カスモサウルス亜科の中で風変わりな頭部を持つことが分かったのは、レガリケラトプスが初めてではない。セントロサウルス亜科と同時期という古い時代に生息し、突飛な風貌を持っていたカスモサウルス亜科の恐竜が近年いくつも見つかっている。7600万年前に生息していたコスモケラトプスもその一つだ。

 「世界で最も角が多い恐竜」とまで言われるコスモケラトプスは、頭部に15もの角や突起を持っていた。そのうち頭の上にある角は下向きに丸まって前髪のようになっている。レガリケラトプスの両目の上にある小さな角もそうだが、これらの丸まった角は捕食者から身を守るのにはほとんど役に立たず、むしろクジャクの羽のように交尾相手へのアピールに使われていた可能性がある。

 角を持つケラトプス科の系統樹は今も枝を増やし続けている。「新種はあらかた見たと思うたびに、ケラトプス科の変てこな新種が現れるのです」と話すのは、英バース大学の古生物学者で今回の研究には関わっていないニック・ロングリッチ氏。

 「おそらく今後も、このグループのさらに奇妙な新種が私たちを待っていることでしょう」

(文 Devin Powell、訳 高野夏美、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2015年6月5日付]

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