海外旅行の決済、専用プリペイドカードが活躍

安全面でのメリットも見逃せない。「不正利用や盗難が心配だった」。都内の30代の女性会社員はインドネシアを観光で訪れた際、現地通貨の引き出しにプリペイドカードを使った。クレジットカードでも現地通貨の引き出しは可能だったが、ATMの挿入口に専用機器を取り付けてカード情報を不正に読み取るスキミングの可能性を考えたという。プリペイドカードに入金したのは3万円。不正利用されても被害額を抑えられるようにした。

「複数の手段確保」

海外旅行では現金をできるだけ少なく持ち、現金以外の手段を利用するのが鉄則だ。治安が比較的良い日本国内と比べ、紛失や盗難にあう可能性が高いからだ。旅行雑誌出版のトラベルジャーナル(東京・千代田)の調査によると、12年に海外旅行で紛失や盗難にあった人の約3分の1が現金や財布をなくしている。

クレジットカードは不正利用された場合に被害額を補償する仕組みがあるため、海外で決済に使う際は選択肢になる。ただ「補償を受けるには手続きが必要で一定期間かかるため、プリペイドを選んだ」(前出の女性会社員)

プリペイドカードは利点は多いが、クレジットカードやデビットカードに比べコストの面でやや見劣りする。例えばクレジットカードを海外で利用する際は国際ブランドが定めた為替レートが適用され、1.6%程度の手数料を上乗せされるだけですむ。デビットカードの手数料は1.6~3%程度だ。

ポイントが付くプリペイドカードはほとんどない点も注意しよう。クレジットカードは一般的に利用額の0.5%相当のポイントをためられる。普及当初は現金還元が主流だったデビットカードも利用額に応じてポイントを付与するものが増えている。

海外旅行では「複数の支払い手段を確保しておく必要がある」(観光ジャーナリストでFPの千葉千枝子氏)。ちょっとした支払いのときはプリペイドカード、多額の決済ではコストやポイント面で有利なクレジットカードという具合に使い分けるといいかもしれない。(藤井良憲)

■国内の口座に入金 留学生活管理にも
海外専用プリペイドカードは留学する子どもに仕送りする手段としても活用できる。国内にプリペイドカード専用口座を開き、海外のATMで引き出すこともできるためだ。専用口座には親などが代理入金する。日本から現地の銀行口座に送金する場合は1回数千円程度の手数料がかかるが、プリペイドカードなら安く済む。
代理入金するには利用者本人の委任状など事前の手続きが必要。クレジットカードは原則18歳以上でないと利用できない。プリペイドカードは18歳未満でも利用できたり、年齢制限がなかったりする。入金額以上は支払えないので無駄遣いを抑えることもできる。

[日本経済新聞朝刊2015年6月10日付]

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