リスク集中避けよう 株価2万円からの投資戦略

では、下値はどうか。「割安になれば買いたい投資家は多く、大きな下げはない」という楽観論が今の市場の大勢だ。下がれば日銀などの買いが入るうえ、海外発のショックがあれば日銀の追加緩和への期待が高まりそう。市場では、日経平均で1万9000円程度を当面の下値メドとする見方が多い。

下値は限られるとしても、業績見合いでみた年内の日経平均の上値メドが最大で2万2000円だとすると、足元の水準からの上げ余地は9%程度になる。今後の投資戦略は、前提とする投資の期間によっても変わりそうだ。

「超低金利の環境下に半年で1割近い上昇が見込める投資対象は日本株以外に見当たらない。だから日本株は買い」と言うのはマネックス証券の広木氏。

一方、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の芳賀沼千里チーフストラテジストは「個人投資家には、ここからはあまり無理をしないでとアドバイスしたい」と話す。上げ余地は限定的なので、中長期の投資なら追加資金の投入や上値追いは慎重に考えた方がいい、というわけだ。

割安感が薄れているのは、日本の株価だけでなく、今の世界の金融・株式相場に共通していえる(グラフC)。例えば米国株(S&P500)の予想PERは18倍近く、ITバブルやリーマン危機の前後を除いた平時の平均(17.3倍)を上回る。世界の債券相場は足元では揺らいでいるが、それでも金利は依然として歴史的低水準(債券価格は高水準)だ。

「不安定さ増す」

ここ数年は世界の中央銀行の強力な金融緩和政策で、あふれたマネーが株式や債券の価格を押し上げてきた。その結果、「世界の市場は不安定さを増している」(JPモルガン・アセット・マネジメントの重見吉徳氏)。

今後も緩和マネーや世界景気の回復を原動力に資産価格は上昇を続けるかもしれず、投資をやめて利益を得る可能性を放棄してしまうのも得策ではなさそうだ。ただ、中長期の資産運用では、少なくとも日本株なら日本株だけというように、1つの資産にリスクを集中するのは避けた方がいい。

「インフレ対応だけでなく、日本がデフレに逆戻りする可能性も考えて資産を分散するのが得策」(中窪文男UBS証券ウェルス・マネジメント本部最高投資責任者)。先のことは読めないからこそ、分散投資の意味がある。(編集委員 北沢千秋)

[日本経済新聞朝刊2015年6月10日付]

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