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ハワイ島で死亡事故、メカジキはなぜ漁師を刺殺したか

2015/6/14

ナショナルジオグラフィック日本版

海中を力強く泳ぐメカジキ(Photograph by Brian J. Skerry, National Geographic Creative)

メカジキは素早い捕食者だ。剣のように突き出た鋭い吻(ふん)で相手に大きな一撃を与えられる。2015年5月29日、メカジキを捕らえようとしたハワイの漁船船長は、不幸にも身をもってその力を体験することになった。

米ハワイ州当局によれば、この漁師はランディ・ラネスさんという47歳の男性。メカジキに水中銃を打ち込んだ直後に、吻で胸を刺され死亡した。現場はモーターボートが多く係留されているハワイ島ホノコハウのマリーナのなかで、体長約1.8メートルのメカジキを獲ろうとラネスさんが海に飛び込んで間もなく事故が起こった。

カリフォルニア州ラホヤにある米海洋大気局(NOAA)海洋漁業局の漁業生物学者ハイディ・デュアー氏は、「水中の生物やボート、調査用の潜水艇などの物体をメカジキが攻撃するのは珍しくありません」と話す。だが、メカジキの攻撃で人間が負傷または死亡した報告は極めて少ないという。

「通常、メカジキがマリーナで泳ぎ回るのを目にすることはないはずです」とデュアー氏は言う。彼らは外洋の魚で、深海にいることが多いからだ。

ラネスさんを攻撃したメカジキがこれほど浅い海で何をしていたのかは明らかではなく、デュアー氏は「病気だったのかもしれません」と推測した。あるいは海面近くで何かを追いかけていて、マリーナに行きついたのかもしれない。「理由は特定できません」とデュアー氏。

■一刀両断の防御

メカジキがラネスさんを刺した理由を断定はできないが、フロリダ州タンパにあるサウスフロリダ大学の水産生物学者フィリップ・モッタ氏は「防御行動だったのでしょう」とみる。

モッタ氏は、メカジキの吻は餌を捕るだけでなく、おそらく防御にも使われると説明する。吻の断面は平たい楕円形に近く、両端は信じられないほど鋭くとがっており、金属製の剣のようだ。「メカジキは頭部を左右に振って、イカや魚などの餌を切断します」とモッタ氏。

モッタ氏は、ハワイのホノコハウ・マリーナのメカジキもこの横振りの動作でラネスさんに致命傷を与えたのではないかとみている。

普段メカジキは浅い海にはいないため、一般の海水浴客がメカジキに出くわす心配はないとデュアー氏は言う。だが、もし遭遇したら「メカジキのいる水中に飛び込むのは得策ではありません」と念を押した。

(文 Jane J. Lee、訳 高野夏美、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2015年6月5日付]

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