くらし&ハウス

暮らしの知恵

達人の冷蔵庫収納術、物には「定位置」がある

2015/6/10

食材や調味料がごちゃごちゃに詰め込まれた冷蔵庫。必要なものがすぐに見つからず、イライラする人も少なくないだろう。特に夏場は、冷蔵庫のドアを開けっ放しにして探すと、食品の腐敗も気になる。料理研究家で、快適に家事をこなすコツを指南する島本美由紀さんは、冷蔵庫の収納に知恵を絞る大切さを説く。ポイントは物の定位置を決め、一目で中身と量がわかるようにすることだという。
しまもと・みゆき 栃木県出身、40歳。料理研究家。「ラク家事アドバイザー」として、キッチンまわりなど家事全般を楽しく、快適にする活動も。著書に「ひと目でわかる!食品保存事典」(講談社)など。世界の家庭の味をテーマに旅行し、著書に旅エッセーもある

――料理研究家の傍ら、家事を楽にこなす術を伝授していますね。

「28歳で結婚した当時、忙しくて冷蔵庫の中身を把握できず、同じ調味料や食材を買ってしまったことがよくありました。以前訪れたアフリカの孤児院で、食べたくても食べられない子どもたちを見たので、使い切れない食品を捨てるたび、胸が痛みました」

「効率よく家事をする方法を考え、とりあえず物を入れる場所としか考えていなかった冷蔵庫の収納を見直しました。食品別の保存方法など、試行錯誤するうちにコツがわかりました」

――冷蔵庫をすっきりさせる方法は。

「まず、モノの指定席を意識することです。調味料や瓶詰の保存食などは、使い切れずに残りがち。すぐ目につくドアポケットに入れるのがお勧めです。奥がすぐには見えにくい最上段には、細長いもの、例えばペットボトルの飲料などを入れるとよいでしょう」

「次に冷蔵庫内を見やすくしましょう。冷蔵室は透明な保存容器を使い、何がどれだけあるかを一目で把握できるようにします。冷凍室は上から見やすくするのがコツです。調理した食品などを入れた保存袋は、縦置きで収納しましょう」

「配置を決めたら食材をまとめ、取り出しやすくします。朝食用や弁当用など用途や種類別にトレーに入れます。味噌など、奥に入り込みがちなものは、取っ手付きの容器を使えば、奥に手を伸ばして探す手間を省けます」

――暑くなる夏の注意点は。

「夏場は20~30秒ドアを開けているだけで、冷蔵庫内の温度は10度ほど上昇します。食べ物が腐敗するだけでなく電気代もかさみます。冷凍室も中身がスカスカだと、内部の空気を冷やそうとして熱効率が悪くなり、電気代が上がります。スペースの7割以上を埋めるよう意識しましょう。虫がわきやすい小麦粉やパン粉などは、冷凍室の空間を埋めるのに役立ちます」

――冷蔵庫がパンパンになりがちな原因の一つが、かさばる野菜です。

「2リットルのペットボトルの容器を半分に切り、ネギやキュウリなど細長い野菜を立てて保存すると、スペースが生まれます。野菜くずなどで野菜室の底の部分は汚れやすいので、底にポリ袋、新聞紙の順で敷きます。これならそのまま捨てられ、拭く手間も省けます。夏野菜のキュウリやナスなどは水分が多く寒さに弱い。キッチンペーパーやラップで1つずつ包んで保存すると長持ちします」

――夏場は冷蔵庫の雑菌も気になります。

「食中毒を防ぐため、冷蔵庫内を清潔にしましょう。肉や魚の汁が容器からこぼれていると、雑菌がすぐ繁殖します。後回しにしがちですが、ただちに拭きましょう」

「ドアの取っ手は菌が付きやすいので、特に頻繁に拭いてください。温めたぬれ雑巾で垂れた液や汁を拭き、頑固な汚れは歯ブラシでとります。口に入っても害のない重曹や酢水、アルコール水をなじませて拭いても十分除菌できます」

――冷蔵庫がすっきりすると気分がよくなります。

「家庭の食は冷蔵庫を中心に回っています。冷蔵庫には、使う人の暮らしぶりや心の状態が映し出されます。慌ただしい日々が続くと、収納が荒れがちです。心にゆとりがあると、片付けようと思えます」

「20歳で母を亡くしました。母の味が恋しくなって初めて、母の料理が自分をつくりあげてきた、と気付きました。冷蔵庫をすっきりさせれば、時間を節約できます。その分、子どもと一緒に料理をしたり、丁寧に手作りする姿を見せたりしながら、子どもに食の思い出をつくってあげてほしいと願っています」

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