マネー研究所

NISAで何を買うか

NISAなら積立投資を 「複利+非課税」で効果大 編集委員 北沢千秋

2015/6/9

 投資はまとまったお金を持った人がやるもの――。そう考えて資産運用を遠ざけてはいないだろうか。しかし、それは大きな誤解。これから資産形成を始める人ほど、世界の金融・株式市場を投資対象として上手に活用したい。今の国内の超低金利の環境下では、預金頼みの資産づくりは効率が悪すぎるからだ。資産形成の最もオーソドックスな手段である積立投資にNISA(少額投資非課税制度)を利用すれば、運用成果に非課税のメリットが上乗せになる。これが、そこそこの効果を発揮するのだ。

■機械的に、淡々とお金を増やす

 積立預金や積立投資は資産づくりの有効な方法だ。例えば給料日の後に毎月一定額を自動的に積み立てるようにしておけば、浪費癖のある人でも、運用に回すはずのお金を使ってしまう恐れはなくなる。何より、今は株式を買うべきか売るべきかなど、投資のタイミングに思い悩む必要がない。株価が上がると株を買いたくなって、下がると売りたくなるという心理的なバイアスも防止できる。機械的に淡々と、余計なことを考えずに資産づくりに取り組めるのが、積み立て方式の最大のメリットだ。

 では、積立預金と積立投資のどちらを選ぶか。運用の未経験者は「投資にはある程度まとまったお金が必要だから、まずは預金で元手をためよう」と考えるかもしれない。だが、それではあまりに効率が悪い。大手銀行の1年物定期預金の金利は現在、0.03%程度。今の日本では預金金利が余りに低すぎる。

 グラフ(1)は、毎月2万円、年2回のボーナス時には5万円を上乗せして10年間、大手銀行で積立預金を続けたときの試算だ。年間積立額は34万円、10年間の元金合計は340万円。しかし0.03%の預金金利が今後も続くとすると、10年後に手にする利子は税引き後(利子から所得税・復興特別所得税15.315%と住民税5%を毎年末に引かれたと計算)でわずか4000円ほどにしかならない。

 金利はこれから上がるかもしれないが、その時には先んじて物価も上がっている公算が大だ。お金を使わずにためた意義は大きいとしても、銀行預金では物価上昇率に負けて、実質的に資産の価値が目減りしてしまう。

 グラフ(2)は同じ積立金額を年5%で複利運用したケースだ。10年かけて積み立てた総額340万円の元金は、10年後には税引き後で約416万円になる。銀行の定期預金との差である75万円強が、年率5%で資産運用した成果だ。同じ積立額で416万円を定期預金でためようとすれば12年4カ月ほどかかるから、5%の複利運用は2年以上の時間の節約になる、ともいえる。

 では、NISA口座を使うとどうなるか。その試算がグラフ(3)で、10年後の資産額は約438万円となる。グラフ(2)のケースとの差額、22万円が非課税のメリットだ。資産形成には決して小さくない額だと思わないだろうか。

 NISA口座では運用で得た値上がり益や配当金・分配金が非課税になるが、それだけでなく、特定口座や一般口座なら毎年、税金として差し引かれる金額が運用の元本に加わるため、運用で得る利益もその分だけ増える。複利効果(毎年の運用益を元本に加えて運用した場合の利益増大効果)がわずかだが、大きくなるのだ。

 ちなみに、同じ積立額を5%の単利、つまり毎年の運用益を再投資せずに運用を続けると、10年後の資産額は税引き後で約407万円になる。グラフ(2)のケースの成果との差は8万円強で、これが複利運用がもたらす効果だ。せっかく中長期で資産運用をするなら、この複利効果もしっかり享受したい。

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