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定年楽園への扉

老後最大の問題はお金より「孤独」 経済コラムニスト 大江英樹

2015/6/25

 非常にショッキングなデータがあります。それは高齢者の犯罪が増加しているということです。ニュースなどでは凶悪な少年犯罪や外国人の犯罪が目立つように思えますが、実際の数字を調べてみると(2014年度犯罪白書)、少年犯罪はピークに比べて3分の1近くに減少しています。外国人犯罪者も2005年にピークを打ってから減少を続け、現在ではピーク時の3分の1以下になっています。

お金があっても孤独に悩む高齢者は少なくない

 暴力団犯罪者も薬物犯罪者も着実に減少している中で、唯一、65歳以上の高齢者の犯罪だけが大幅に増えているのです。例えば約20年前の1994年に比べて高齢者の検挙者数は約4倍に増えています。もっと驚いたことに万引き犯の約3割は高齢者、特に女性の高齢者だそうです。一方、男性の犯罪で圧倒的に多いのは暴力・暴行犯でこちらは過去20年間で検挙数は50倍という驚異的な数字になっています。

 たしかに最近はちょっとしたことですぐ大声を上げたり、キレやすくなった老人が増えているような気がします。もちろん高齢化社会になっているわけですから絶対数が増えるのはやむを得ないとしても、この増え方は異常です。どうも我々が考えているようなお年寄り=穏やかでおとなしい社会的弱者というイメージではなくなりつつあるようです。

 15年2月に発刊された「老人たちの裏社会」(宝島社)という本を読んだのですが、そこには想像を絶する高齢者の犯罪が描かれていました。私も14年6月に書いた「定年楽園」(きんざい)という本の冒頭でこの高齢者犯罪の増加に触れたのですが、事態は私が想像する以上になってきているようです。

 なぜこのような高齢者の犯罪が増えているのでしょうか? 理由は2つあると思います。1つは昔と違って最近の高齢者はとても元気だということです。確かに平均寿命が65歳ぐらいの頃(昭和30年代)の60歳と今のように80歳を超えるまで生きる時代の65歳とでは元気の度合いが全く違います。体力もはるかに当時よりは上でしょう。元気があるから犯罪に走るというわけではありませんが、十分な体力があることはその要素の1つといえるでしょう。

 もう1つの理由、これが大きな問題なのですが、孤独なお年寄りが増えてきているということです。これは家族が居るとか居ないとかは必ずしも関係ありません。パートナーがいるにもかかわらず精神的に孤独な人は増えてきています。

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高齢者少年犯罪

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