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アンテナショップ 底抜けの地元愛に満ち満ちて

立川談笑

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NIKKEI STYLE

 アンテナショップと称する店が都内にはたくさんあります。各道府県が地元をアピールすべく、産地直送の名産品などを並べている店舗です。先日、そんなアンテナショップに関わる皆さんの集まりに呼ばれておしゃべりをしてきました。

アンテナショップ業界ってそんな言葉があるか知りませんが、数ある中でとにかく売り上げで他の追随を許さないのが北海道だそうです。なるほど、確かにぱっと考えただけでいくらでも名産品が思い浮かびます。海産物ではサケ、カニ、ホタテ、ウニ、昆布。畑ではジャガイモ、トウモロコシ。チーズ、バターの乳製品に、白い恋人やマルセイバターサンド。ジンギスカンやスープカレーと、きりがない。店頭でソフトクリームなんか売ってたら、とてつもなくおいしそうで間違いなく買ってしまいそう。

そしてその北海道を追いかける二番手が沖縄と聞いて、これまたなるほど……と納得しかけて思いとどまりました。沖縄の名産って何だろう? 泡盛、ゴーヤ、ソーキそば、ウコン、ちんすこう、サーターアンダギー、海ぶどう。北海道の重量級打線と比べるといくぶん拍子抜けの感もありますが、とても魅力的なことは確かです。沖縄というと、なぜかわくわくと心が浮き立ちます。そういえば、ただひとり沖縄出身の落語家で立川笑二ってのがいたような…。私の弟子です。頑張れ、沖縄!

と、この北海道と沖縄、くしくも日本の北端と南端から出てきているアンテナショップが二大巨頭なんだそうです。

この会合は有志の集まりで、今回はゆるいゲストを呼ぼうじゃないかという趣旨だと聞き、私も気ままに話をしてきました。とはいえ私は経営の専門家ではないし、地域起こしに精通しているわけでもありません。ただ少なくとも、お客様の心を動かすという一点だけは血道を上げてきたところであります。そこで以下のようなお話をしました。

場違いのようですが、落語の話をします。落語は、型通りに無難に演じることができます。「古典」というくらいで、先人の演じた高座がある程度固定化された形で残っていますから。ところがそれだけでは必ずしも現代のお客様の心には響かない。しっかりと工夫すべきだ、というのが私の考えです。かつての偉大な名人たちや楽屋に鎮座ましましているお歴々の顔色をうかがうのではなく、落語の将来と目の前のお客様にこそ集中すべきだと。何を言いたいかというと、行政や生産者団体だとかの顔色ばかりうかがっていたら無難なばかりで魅力のうすい店になってしまうのではないかということです。

いきなりですが、アンテナショップは底抜けの地元愛に満ち満ちてほしいと思っています。本来のターゲットは東京のお客さんかもしれませんが、そんなのは二の次三の次。まずはとにかく地元出身者のハートをわしづかみにする場所であってほしいのです。地元で育った人がその店を訪れたが最後、滂沱(ぼうだ)の涙を流さずには帰れないくらいの。大げさですが。出身者が興味をかきたてられない店には、地元と縁のない客はなおさら近づかないのではないかと思うのです。

勝手に理想のアンテナショップを妄想してみます。まず店内に入ると、ご当地ならではの懐かしい匂いが鼻をつきます。味噌だとかへしこの糠(ぬか)だとか、くさやはやりすぎかな?でも、出身者の心に響くならくさやでもいい。東京にふさわしいかではなく、あくまでも地元優先で話を進めます。流れるBGMは地元の民謡やわらべ歌。田植え唄、網引き唄、木挽(こび)き唄。お寺の鐘の音。岬の波音。祭り囃子(ばやし)。合間にDJが入ります。DJといっても、地元のおばあちゃんがディープな方言で語るのです。

「おお、よう帰って来たのお。おばあちゃん、おまえんこといつも心配しよるんぞ。元気にしてらか? えらいじゃろうが体に気をつけねばの。まま、今日はゆっくりしてたもんせ、の?」なんて。

壁には、大きな地図。「ここの村の、このちっぽけな集落が俺の生まれたところだ。ほら、周りは山ばっかりだろ」と指させるように。目を上げると上にはご当地ゆかりの有名人がずらりと並んでいます。ミュージシャン、俳優、タレント、漫画家、小説家、政治家などなど。意外なあの人と小学校が同じだ!なんて発見がきっとあります。

フリーの告知スペースには、地元出身で頑張っているアーティストのライブや出演する舞台のチラシが積んである。「都内で郷土料理の店を出しました。お越し下さい」なんて貼り紙があったり。

地元の名産品ばかりでなく、大きな企業の製品を並べても楽しいと思います。三重県ならベビースター、山梨県ならよっちゃんイカだとか。全国の誰もが知っているあの会社はウチが地元なんだよ、と胸を張れます。福岡県のショップに行くとマルタイ棒ラーメンがずらりと20種類も並んでいるなんて、出身者ならちょっとのぞいてみたくなりませんか。

情報はインターネット。通販でのお取り寄せも自在で、なにかと便利なこのご時世です。それでも、実際に足を運んでその場に身を置かないと味わえないライブの楽しみというものはまだまだあります。地元民がやたらと熱く燃えているアンテナショップがあったら、いったい何が魅力なんだろうと他の人たちもきっと興味をかきたてられますよ。

個人的には、江東区のアンテナショップを熱望します。あの頃の懐かしい「もんじゃ」があれば、日参するのに!あ、都道府県じゃないか。残念!

(次回は6月17日更新予定)

 立川談笑(たてかわ・だんしょう) 1965年、東京都江東区で生まれる。海城高校から早稲田大学法学部へ。高校時代は柔道で体を鍛え、大学時代は六法全書で知識を蓄える。予備校講師など様々なアルバイトを経験し、93年に立川談志に入門。立川談生を名乗る。テレビの情報番組でリポーターを務めながら芸を磨く。96年に二つ目昇進、2003年に談笑に改名。05年に真打ち昇進。古典落語をもとにブラックジョークを交えた改作に定評がある。十八番は「居酒屋」を改作した「イラサリマケー」など。
<今後の予定>都内での独演会6月13日7月14日8月18日、吉笑(二つ目)、笑二(同)、笑笑(前座)の弟子3人とともに武蔵野公会堂(東京都武蔵野市)で開く一門会は6月27日、7月26日、8月28日の予定。
立川談笑HP http://www.danshou.jp/

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