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インデックス投資の古典 「敗者のゲーム」

2015/5/30

日本経済新聞でマネー分野を専門に取材する編集委員・記者が選んだ「読んでおきたいマネー本」をレビューと共に紹介するコラム。今月の1冊は「敗者のゲーム」(チャールズ・エリス著)です。
『敗者のゲーム』(チャールズ・エリス著、日本経済新聞出版社、税込み1836円)

「市場はプロが戦う場であり、一人だけ勝ち続けるのは難しい。個別銘柄の選択などはコストの割に効果はほとんどない」と指摘、運用業界に衝撃を与えた。初版は1985年、全米100万部超のロングセラーだ。資産運用を巡っては運用の腕で市場に勝てるとするアクティブ派と、市場に勝とうとせず低コストで投資すべきだとするインデックス派の論争が長く続く。同書はインデックス派のいわば古典で現在は第6版。金融危機への対処法にも触れている。

筆者のエリス氏は2011年に来日し、日本経済新聞社のインタビューを受けた。「長期の成績を決めるうえで重要なのは、例えばどこの地域の株を何割、債券を何割持つかという資産配分。市場の予測は困難なので銘柄選別の効果は小さい」と著書での指摘を改めて強調。「何がいつ上がるか」を当てるのが投資ではなく、「それはわからないからこそ低コストのインデックス投信で世界中に幅広く分散することが大事」と繰り返した。

来日はまだ金融危機の記憶が色濃く残る時期だった。投資を続けることに不安を訴える個人が多いことに対し「株式市場は長期では上昇が続く。投資をやめるべきではない」と答えた。相場が突然大きく上がる「稲妻が光る瞬間」があるが、それは事前にはわからないので「市場に居続けるべきだ」と、日本の投資家を勇気づけた。その後の日本株の急上昇期はまさに「稲妻が光る瞬間」だったのかもしれない。

エリス氏の言葉に反発を覚える人が頭に浮かべるのは、長期で市場に勝ち続けたといえる米著名投資家、ウォーレン・バフェット氏の存在だろう。しかしそのバフェット氏自身が「(特別の能力を持たない)普通の人にとっての最善の方法は、手数料の低いインデックス・ファンドに投資することだ」と何度も指摘していることは知っておきたい。エリス氏の主張が少なくとも「普通の人」にとっては正しいことの裏付けといえるかもしれない。

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