相続税の落とし穴 非課税でも申告必要なケースも

今年1月に相続増税がスタートしてからまもなく半年。7月1日には今年に入ってから相続した土地の評価基準となる「路線価」を国税庁が公表し、相続税の申告がこれから本格化する見通しだ。ただ相続税は仕組みが複雑で、申告する際には落とし穴が少なくない。最低限知っておきたい税額計算の流れとともに、申告で間違えないための勘所をまとめた。

「申告書の書き方などわからない」。年初に父を亡くした椎崎明さん(仮名、東京都、55)は、相談のために面会した税理士から、申告書の提出が必要だと指摘されて困惑した。

父親の遺産は、家と預金などを合わせて約6000万円。今年から相続税の基礎控除(非課税枠)が「3000万円+600万円×法定相続人の数」と4割も縮小され、実質的に増税となる。

椎崎さんもこのままだと相続税を払わなければならないと税理士に知らされた。結局、税理士の助言を受けて家の土地の評価額を減らせる特例(後述)を活用する予定だが、そのためにはやはり申告が必要だ。

同様の例は多い。ランドマーク税理士法人によると、都市部では申告代理の依頼件数が昨年より3割ほど増えている。「税負担を周りに指摘され慌てて相談に来る例が目立つ」(清田幸弘代表税理士)という。

相談者がさらに慌てることがある。相続税の申告期限が、死亡の翌日から10カ月以内と意外に早い点だ。葬儀や遺産分割協議に時間を費やし、申告要否の判断や申告書の作成に時間が足りなくなることもある。

いざというときには何を頼ればいいだろう。国税庁はサイト上に相続税の申告が必要か否かを判断できるコーナーを設けた。相続財産額や法定相続人の数などを入力していく仕組みだ。税務署に電話して予約し相談に行くのもいい。税理士に申告代理を依頼する場合、報酬は遺産額の0.5~1%ほどが相場だ。

自らも、相続税がどう決まるのか、おおまかな流れはつかんでおきたい。手順としては初めに、財産をすべて洗い出して金額に換算する(図A)。ポイントは財産の中で特に多額になりがちな土地の評価だ。

土地は例年7月に公表されるその年の路線価(国税庁サイトに掲載)を基に評価する。公表前に相続が起きたら土地の評価ができず、申告もできないが、便宜的に前年分の路線価を見て目安を把握しておくといい。土地が面する路線価に面積を掛けて計算するのが基本だ。土地の間口や奥行き、形状などにより修正する場合がある。

財産額を求めたら、次は故人が借金をしていないか確認する。債務は葬式費用とともに財産から差し引くことができる。こうして求めた金額(課税財産額)が基礎控除以下ならば相続税はかからず、上回れば総額を計算する必要がある。相続税の申告書はこうした計算の流れを順番に記入していく仕組みになっている。

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