『妖怪ウォッチ』が「3」に進化、海外市場攻略へ
日経エンタテインメント!
『妖怪ウォッチ』を手がけることで知られるゲームメーカー、レベルファイブは2015年4月7日、東京ドームシティホールにて新作発表会「LEVEL5 VISION 2015 ‐THE BEGINNING‐」を開催した。
来場者の興味は年間市場規模が2000億円を超える人気コンテンツ『妖怪ウォッチ』の新展開にある。海外進出計画や、『妖怪ウォッチ2 元祖/本家/真打』に収録されていたアクションゲームをパワーアップし、1本の新作として2015年7月にリリースする『妖怪ウォッチバスターズ 赤猫団/白犬隊』などの発表の後、『妖怪三国志』の発表に会場は大きく盛り上がった。コーエーテクモゲームスの人気歴史シミュレーションゲーム『三國志』と『妖怪ウォッチ』がコラボレーションしたこの作品は、ジバニャンをはじめとする妖怪たちが、3つの陣営に分かれて陣取り合戦を繰り広げる内容だ。
続いてスマートフォンで楽しむ『妖怪ウォッチ』関連のアプリが複数発表されたが、注目作は『妖怪ウォッチ ぷにぷに』。NHN PlayArtと共同開発するこのパズルゲームは、上から落ちてくる「妖怪ぷに」をタップで消していく。
他社と手を組み市場拡大
現在ニンテンドー3DS用のゲームとして展開する『妖怪ウォッチ』のファンは小学生が中心。大人世代に支持される『三國志』のコーエーテクモゲームスと、女性に人気の高いスマートフォン用アプリを多数手がけるNHN PlayArtとレベルファイブが手を組むことで、より幅広い世代が『妖怪ウォッチ』に興味を抱くきっかけとなるだろう。
続いてレベルファイブ代表取締役社長/CEO(最高経営責任者)の日野晃博氏は、「クロスメディア展開の勢いを維持しつつ、次のステージに進むためには、『妖怪ウォッチ』は進化していくべきだ」と語り、『妖怪ウォッチ』のセカンドシーズンへの突入を発表。ゲーム『妖怪ウォッチ3』や2015年夏から放映のアニメで、もう1人の主人公として、普通なケータと違って、ちょっと変わった「未空イナホ」と、ジバニャンに並ぶ主役級妖怪「USA(うさ)ピョン」を公開した。ケータ編の舞台も「USA」のセントピーナッツバーグという街に変わり、「外国を旅しているようなワクワク感」(日野氏)が味わえるという。
『妖怪ウォッチ』は『ドラえもん』や『ちびまる子ちゃん』など長期間親しまれている作品と肩を並べるべく、日野氏が立ち上げた作品だが、目標とした作品はのび太やまる子など、いずれも主人公が不変。第2の主人公がファンに支持されるかが、『妖怪ウォッチ』が長寿人気コンテンツとなるかどうかの分岐点となりそうだ。
発表会の内容は『妖怪ウォッチ』関連だけではなかった。全世界シリーズ累計1550万本以上を出荷する『レイトン教授』シリーズの最新作『レイトン7』と、全世界シリーズ累計100万本を出荷する『ファンタジーライフ』シリーズの最新作は、スマートフォンで楽しむ、基本無料、アイテム課金型のゲームとなる。さらに『妖怪ウォッチ』が絶好調のなか、新規クロスメディアプロジェクト『スナックワールド』の立ち上げを発表。既にゲーム、アニメ放映、コミック誌での連載、玩具、映画化が決定しているという。
レベルファイブの戦略は『妖怪ウォッチ』の「進化」、『レイトン7』での名作「復活」、そして『スナックワールド』での新たな「挑戦」の3本柱。この3つを精力的に推し進めることでゲーム市場での存在感を高めていきそうだ。
(C)LEVEL-5 Inc.
(日経エンタテインメント! 伊藤哲郎)
[日経エンタテインメント! 2015年6月号の記事を基に再構成]
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