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NISAで何を買うか

NISAやるなら、分散投資で「負けにくい」運用を 編集委員 北沢千秋

2015/5/26

 資産運用は必要だと思っても、怖くてなかなか実行に踏み切れない――。投資の初心者は誰しも「慣れない投資をして損をするかもしれない」と心配する。確かに資産運用は市場の動き次第で利益が出たり損をしたりする。だが、大もうけを狙おうとせず、そこそこの利益が出ればいいと考えれば、損失を被る危険は減らせる。

 少額投資非課税制度(NISA)で資産運用を始めるなら、まずは「負けにくい」運用を心掛けてみてはどうだろう。目標とするのは政府・日銀がメドとする2%の物価上昇率を上回るリターンだ。ささやかに思えるかもしれないが、それでも預貯金にお金を眠らせておくよりよほどいい。

 具体的な運用の話をする前に、少し我慢してまず「リスク」の説明を聞いてほしい。資産運用で成功するか、失敗するか、リスクは最大のカギを握っているからだ。

■リスクとは「値動きのブレ幅」

【表A】主な資産のリスクと期待リターン
 リスク(%)期待リターン(%)
国内株206~8
外国株207~9
国内債券50~1
外国債券100~1
4資産均等分散104~5

(出所)イボットソン・アソシエイツ・ジャパンの小松原宰明氏

 表Aはイボットソン・アソシエイツ・ジャパンの小松原宰明チーフ・インベストメント・オフィサーが推計した主要資産のリスクと期待リターン(数字は丸めてある)。期待リターンは文字通り、年間で何パーセントぐらいの利益が期待できそうかを表した数値だ。

 一方、リスクはその資産が1年間に「平均的なリターンを中心に、上下どれぐらいの幅で価格がブレそうなのか」を統計的に示している。例えば国内株式のリスクは20%なので、平均リターンが8%とすると、1年間の価格変動はプラス28%からマイナス12%(8%±20%)の幅の中に7割近い確率で収まることを意味する。

 「損をするのがリスク」という一般の人々の感覚とは異なるが、資産運用の世界では、数値化できる「値動きのブレ幅」を便宜的にリスクと定めている。

■まず「どれぐらい損する可能性があるのか」考える

 では、なぜリスクが大切なのか。まず、投資する資産や金融商品のリスクの数値を知っていれば、市場環境が悪くなった場合などに、どの程度の損失を被りそうなのかが具体的にイメージできるからだ。「資産の年間の最大下落率(つまり最悪のケース)はリスクの2倍を目安にすればいい」というのが小松原氏の主張。リスクが20%の株式なら、最悪、年間で4割の損失が生じかねないことになる。

 リスクを認識せずに投資して、資産価格が想定外の下落に見舞われたときに受ける精神的ダメージは大きい。資産運用では「どれくらいもうかりそうなのか」と期待リターンに飛びつく前に、まず「どれくらい損をする可能性があるのか」を知り、「どれくらいの損なら我慢できるか」を考えてから投資するのが順番だ。投資の損失を恐れる初心者ほど、低リスクの運用を心掛けた方がいい。

 2つ目は、市場の動き次第で変わる株式など資産のリターンは予測できないが、リスクは自分の手である程度はコントロールが利くからだ。その手段が資産分散の考え方。値動きの傾向が違ういくつかの資産に投資すれば、リスクを抑えながら一定のリターンを確保できるという運用理論だ。

 表Aで「4資産均等分散」のリスクとリターンを見てほしい。単純に国内外の株式、債券に手持ち資金を25%ずつ分けて投資した場合、4~5%のリターンが期待できる一方、リスクは外国債券並みの10%にとどまる。あくまで理論的にではあるが、ほぼ債券並みのリスクで「株式ほど怖くなくて、でも債券よりも高いリターン」が実現できる。分散投資の効果はそれほど大きいのだ。

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