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定年楽園への扉

サラリーマンは「老後破産」しない 経済コラムニスト 大江英樹

2015/5/28

 最近は雑誌やテレビの番組などで「老後の不安」を取り上げられることが多くなってきました。年金への不安や不信というのがその背景にはあると思われます。高齢化が進展していくなかで自分の将来が一体どうなるだろうと不安が頭をもたげてくるのは当然かもしれません。

「老後には多額の資金が必要」といわれているが、サラリーマンは公的年金で生活費が賄えるケースが多い

 「老後には1億円必要」とか「退職時には少なくとも3千万~4千万円は用意しておかなければ」といった文言を目にすると普通の人は驚き、焦るに違いありません。私自身が金融機関で営業をやっていた30年前も今と全く同じことを言って不安をあおり、保険や投資信託を買ってもらう営業がおこなわれていました。

 でもそういうことをいっている人たちのほとんどは実際に退職後の生活の経験がない人ばかりです。「老後に1億円必要」の根拠は一般にいわれている「ゆとりある生活をおくるために必要な生活費は月額35万円」ということのようですが、私自身が3年前から年金生活をするようになった実感からいうとそれほど必要とは思えません。実際に生活している人の平均額は恐らく25万円程度でしょう。計算の仕方にもよりますが、これなら老後生活に必要な金額は7千万~8千万円ぐらいです。

 私は退職後にどれぐらい生活費がかかるかを実際に知りたくて退職前から自分で家計簿をつけてみました。退職時点で住宅ローンも終わり、子供も独立していましたから、夫婦2人だけの生活であれば、退職後はだいたい月に20万円前後の生活費でまかなえます。もしこの金額でずっと生活するのであれば、必要な額は6千万円ぐらいに減ります。

 サラリーマンであれば生涯に受け取る公的年金の金額は5千万~6千万円ぐらいはあります。たとえば夫の月給が38万円で、5歳年下の妻が専業主婦。夫妻共に65歳から平均余命(男性約19年、女性約24年)まで支給されるとしましょう。夫の支給額(厚生年金と国民年金)は年193万円で計約3700万円、妻の支給額(国民年金のみ)は年78万円で計約1900万円。2人でざっと総額5600万円受け取る計算です。もしこれに退職金や企業年金が加わるのであれば、老後の生活費のかなりの部分はカバーされます。

 サラリーマンの場合は自営業者よりも公的年金の金額は多いのが普通です。妻が働いていて厚生年金加入者であれば、普通に生活していれば、そうそう老後破産するようなことはないといっていいでしょう。

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