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国際化映す日本人作品 中堅・若手目立つコンペ

カンヌ映画祭リポート(1)

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NIKKEI STYLE

「いろいろな映画祭にいった経験から言うと、カンヌは特別ですね。楽しいのが半分、怖さが半分。こんな映画祭はほかにない」

黒沢清監督はそんなふうに話した。ある視点部門の「岸辺の旅」で5度目のカンヌ出品となる黒沢が言う「カンヌの怖さ」とは何なのか。

「批評家もジャーナリストも観客も、ここに来たら、映画についてのある価値基準を作ろうとする。この映画はいい、裏返すと、この映画はダメ。みんながカフェで楽しそうに、今みた映画がいかにダメだったかを話している」

確かにそうだ。上映中にイスを蹴って出て行く反応も、翌朝の新聞に載る激烈な批評も、すべては「ある価値基準を作ろうとする」意識から来ている。世界各国から集まる4千人を超すバイヤーにしても「買うか」「買わないか」というそれぞれの価値基準で動いているのだろう。

ディレクターのティエリー・フレモーは「カンヌ映画祭は時代の新たな表現、新たな形式、新たな視覚的創意を際立たせるために存在する」と説く。いわば世界の映画の潮流を映し出す鏡だ。だから批評家やジャーナリストたちはここに来て「世界映画は今どうなっているか」を考える。記者もまたそういう一人なのである。

今年で68回目を迎えたカンヌ国際映画祭が何を映し出すか。それは上映が始まらなければわからないが、とりあえず外形的な面からラインアップを概観してみよう。

最高賞のパルムドールを競うコンペティション部門には19作品が選ばれた。近年は巨匠の作品がずらりと並んでいたカンヌだが、今年は全体に若い。最年長監督は68歳のホウ・シャオシェン(台湾)で、60代はホウ、ガス・ヴァン・サント(米国)、ジャック・オディアール(フランス)、ナンニ・モレッティ(イタリア)の4人だけ。50代もトッド・ヘインズ(米国)と是枝裕和の2人。中核はジャ・ジャンクー(中国)、パオロ・ソレンティーノ(イタリア)ら40代で、10人と過半を占める。30代の若手も3人いる。

国籍別でみるとフランス人監督の作品が5本と例年以上に多い。「愛されるために、ここにいる」のステファヌ・ブリゼ、「わたしたちの宣戦布告」のヴァレリー・ドンゼッリ、マイウェン、ギョーム・ニクルーの4人は40代以下。コンペ外だがオープニング作品のエマニュエル・ベルコ、クロージング作品のリュック・ジャケも40代のフランス人だ。

一方で英国人、ドイツ人の作品は1本も選ばれず、ハンガリーの38歳の新人ラスロ・ネメシュの長編第1作が入った。米国は2本。アジアはジャ、ホウ、是枝の3本で、西アジアからは選ばれなかった。

地域に関係なく気鋭の中堅・若手が目立つのが今年のコンペの特徴といえるだろう。なかでも「籠の中の乙女」のヨルゴス・ランティモス(ギリシャ)、「父の秘密」のミシェル・フランコ(メキシコ)の新作には注目したい。

日本人俳優の活躍も見逃せない。ガス・ヴァン・サント監督「樹海」には渡辺謙、ホウ・シャオシェン監督「黒衣の刺客」には妻夫木聡がそれぞれ重要な役で出演している。ブロードウェイで「王様と私」に出演中の渡辺がカンヌ入りしないのが残念だが、妻夫木はやってくる。

コンペ以外でも、ある視点部門で河瀬直美監督「あん」と黒沢清監督「岸辺の旅」、監督週間で三池崇史監督「極道大戦争」と3本の長編新作が上映される。河瀬作品は日本とフランスとドイツで、黒沢作品は日本とフランスで製作資金を調達した。黒沢作品はフランスで100~150館規模の公開が予定されている。ここにも日本映画の国際化が反映している。

コンペ部門の審査委員長は米国の監督、ジョエル・コーエンとイーサン・コーエンの兄弟。2人で審査委員長を務めるのはカンヌ映画祭史上初めてだ。2人で意見は割れないのか? 13日の公式インタビューでイーサンは「似た好みをもっているのは確かだが、時々一致しないこともあるよ」と語り、ジョエルは「同意する点と同意しない点は普段もある。でも一緒に仕事をするときは、話し合って合意を作る。審査員の仕事も同じだと思う」と話した。

近くの砂浜で海水浴を楽しむ姿も見られるほど、今年のカンヌは暑い。汗ばむ陽気の中、街中に貼られた白と青を基調にした公式ポスターが涼しげだ。イングリッド・バーグマンが爽やかに微笑している。13日夜の開会式は、この熱情を秘めた知性派女優にオマージュをささげ、昨年の女優賞を受けたジュリアン・ムーアが開幕を宣言した。(=一部敬称略)

(編集委員 古賀重樹)

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