どん底で誓った理想の投信づくり(藤野英人)

大学を卒業したときにやりたかったのは裁判官とか検事。だから腰掛けのつもりで入ったのが資産運用業界だったんです。ところが身を投じてみると仕事は面白かった。半面、同僚が有名国立大学出身で米国留学の経験があったり、アナリスト資格をすでに取得していたりするなど、スタートラインで大きな差があった。自分が付加価値を出すためにはどうすればいいかを考え、経営者とか人間にフォーカスするというアプローチに行き着きました。

10年からはコモンズ投信会長の渋沢健さん、セゾン投信社長の中野晴啓さんと「草食投資隊」という風変わりなチームをつくって、長期投資の啓蒙活動を始めました。全国で月2回ぐらいはセミナーをやっています。長期投資はすばらしいということを訴えるのみで、投信を買ってもらうことは直接は意図していません。投資を悪だと思っていたり、投資を技術論でしか考えていなかったりする若い人たちが多いので、これを何とかしないといけないとの思いからです。

「草食投資隊」で長期投資の啓蒙をしている

若者に投資の意義を説く

13年には僕自身「投資家が『お金』より大切にしていること」(星海社刊)という本を出しました。これは投資本としては変わっていて、若者向けに投資の社会的意義を説いたものです。投資の意味って何だろうとか、真っすぐ書いた本は意外になくて、若い人中心に売れています。

個人投資家の方々には、投資する際の心得を「小さくゆっくり長く」といっています。「小さく」とは「手に汗をかかない程度」。持っているお金をすべて投じてしまったら大変ですよね。絶対金額ではなくて、個人の金銭感覚によって投資額を決めてください。「ゆっくり」というのは一気に投じるのではなくて時間分散して、「長く」というのは3年間ぐらいはお試し期間としてゆっくり投資してみてくださいと。長い人生、30年、40年、50年ということを考えたら、3年間のお試し期間はあってもいいでしょう、という話をしています。

(聞き手は電子編集部シニア・エディター 佐藤一之)

「わたしの投資論」は随時掲載します。
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