ITバブルとは違う ROE重視の株価2万円

日経平均株価は連休前に下落したものの4月に15年ぶりとなる2万円台を回復するなど総じて堅調だ。金融緩和を背景にした投資資金の流入と、拡大する企業業績への期待が買い要因だ。当面もう一段調整する場面があるかもしれないが、2万円乗せ後に下落基調となった2000年と比べると市場環境は大きく異なる。15年前の「ITバブル相場」と比べながら年後半の相場を占ってみよう。

日経平均は2000年4月中旬に2万0833円の高値をつけた(グラフA)。当時、PER(株価収益率)は305倍と異常値と言ってもいい水準で、PBR(株価純資産倍率)、配当利回りなども現在に比べると大きく見劣りする(表B)。

市場の信頼高く

2000年は4月後半から相場は下げ基調となり、年末の日経平均は1万3000円台まで下げて終わった。前回がITバブルなら今回は日銀バブルだから、同様に2万円乗せがゴールになるのではと懸念する声もあるが、15年前と今が決定的に違うのは、日本企業に対する市場の信頼感だ。

今年4月22日に日経平均が終値で2万円を回復した直接のきっかけは中国の金融緩和だったが、理由はほかにもある。拡大する企業業績と、自己資本利益率(ROE)革命と言われる経営体質の改善が大きい。

2年前に5%台だった日本企業のROEは今期10%に乗せそうで、急激に改善している。アベノミクスによって経営者が攻めの姿勢を取り戻し、長年ため込んだ約100兆円もの資金を使い始めた。成長のための設備投資やM&A(合併・買収)、株主還元のための増配や自社株買いがここへきて急増しており、それが株価を押し上げている。

ROE革命の先駆けとなった企業が味の素だ。アベノミクスの始まる前の11年に攻めの経営に打って出た。ROEの水準を8%まで高める方針を示した。自社株買いとその消却、設備投資などに積極的に取り組んできた結果、900円前後だった株価は2500円前後まで上昇している。

味の素に続けとばかりに、有力企業がROE革命の波に乗る。富士フイルムは昨年11月、内部資金の活用と株主還元の強化を打ち出した。3年間で2000億円を配当と自社株買いに使い、4000億~5000億円をM&Aに使う方針だ。これによりROE7%を実現する。

今年に入り、三菱重工業やファナックなど保守的な印象が強かった企業が、株主還元を強化する姿勢を示し、投資家の信頼感を高めている。先陣を切って前3月期の決算を発表した安川電機も、「10年後でもROE13%は維持できている経営を目指す」(宇佐見昇副社長)という。

注目記事
次のページ
中計の動きに期待