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相続トラブル百科

親の貸金庫、相続人でも簡単に見られない中身 司法書士 川原田慶太

2015/5/1

 亡くなった親が生前、借りていた金庫の存在が、いまになってわかった――。相続の現場で、ときおり目にする光景の一つです。遺産相続人としては、中に何が入っているのか非常に気にかかると思います。しかし、実はそう簡単には開けられないケースもあるということを知っておいた方がよいでしょう。

:「ねぇ、この間、父さんの借りていた金庫が出てきたって話があったでしょ」
:「亡くなったお義父(とう)さんが内緒で借りてて、鍵が見つからないとか言ってたやつだよね。中身って、結局何が入っていたんだい」
:「それがね、銀行に行っても開けてもらえなかったのよ」
:「えっ、やっぱり鍵がないとだめだったの」
:「違うのよ。そもそも、私ひとりじゃ手続きをしてくれないんだって。兄さんのとこにもはんこをもらいに行かないとだめらしくて」
:「へぇ、わりと大げさな話なんだね」
:「しかも、開ける時もできればみんなに立ち会ってほしいんだって」
:「ずいぶん厳重なんだなぁ」
:「べつに何も持ち出しなんかしないし、中のものを確認するだけなのに……」

 4月17日付「親名義の秘密の貸金庫 死後に存在を知ったら」でも紹介したように、故人名義の貸金庫の契約が、後日発見されることがあります。金融機関との間で結んだ金庫などの貸し借りの契約は、たとえ借り主が亡くなったとしても、いきなり終了にはなりません。契約が解除されるまで、金庫を借りる権利をそのまま相続人が引き継いだ状態となります。

 例えば、「父親が亡くなって2人の子どもが相続人となった」ケースを具体的に考えてみましょう。残されたのは兄と妹の2人で、その他に相続人はいません。兄か妹のどちらか一方が貸金庫を開けるよう求めてきた場合、銀行側としては簡単に応じるのは難しいという現実があるのです。

 相続人に契約が引き継がれるといっても、兄か妹のどちらか一方だけに承継されるわけではなく、いったんは2人に引き継がれた状態となります。そのため、銀行としては両方から承諾を取っておかないと、片方からのクレームやトラブルにつながる可能性があると危惧するわけです。

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