ネガティブ感情を一掃 呼吸で「心の緊張」緩めよう
呼吸を整えるだけで心の疲れを一掃できる
イライラする、やる気が起きない、自信がない──。そんな嫌な感情を、簡単に手放せる方法があった。 鍵となるのが、普段から無意識に行っている"呼吸"だ。「呼吸を意識した動作を行うと、ネガティブ感情に覆われて、ギュッと締めつけられた心の緊張をほぐし、感情そのものをリセットさせることができるんです」。そう話すのは、セラ・ラボを主宰する理学療法士の山口光國さん。
心が緊張すると、カラダも緊張して筋肉が動きにくくなり、呼吸は浅くなる。そんなときにゆったりと深呼吸すると、胸や肩が開きカラダの力が抜けて、リラックスした状態になるのは知られている話だ。しかし実際は、「呼吸そのものを意識するだけでも十分気持ちのリセット効果がある」と山口さんは話す。
「イライラするのをやめようと念じたところで、急に気持ちを変えるのは難しい。そんなときにおすすめなのが、あえて自分のカラダに意識を向けること。不安になるのは、気持ちが『将来』に向けられているから。つらい感情は、気持ちが『過去』にとらわれているから。いずれも『心ここにあらず』なんです。まずは意識を『今、現在』に引き戻すことが重要です」
そのためには呼吸を意識してみるといい。今、ここに自分のカラダが存在することを実感できる。呼吸なら誰でもどんなときでも簡単に実践できるのもいい点だ。
まずは入浴時と就寝前に、イラストの動作を行ってみてほしい。気持ちを自分の体に向けるアクションで、こわばった心とカラダの緊張がほどけていく感覚を実感できるはずだ。
さらに、今抱えているネガティブな気分に応じたポーズを呼吸を意識しながら行うと、前向きな気持ちになれるはず。早速、今日から始めてみよう。
毎晩、実践。呼吸とともに心をほぐそう
1日頑張った心は、カラダと同じように凝り固まっている。呼吸に意識を向けながら、心身を丁寧にいたわるようにケアしよう。
心のストレスに気づかないふりをして、「疲れていないこと」にしている人は多い。そんな人の顔は、まるで仮面をつけたように固まっている。お風呂の中で心の仮面を外し、リセットしよう。
就寝前に、頭の中を空っぽにして呼吸を数えるだけ。簡単そうに思えるが、ほかのことに気を取られず、ただカウントにだけ集中するのは至難の業。シンプルだがそれだけに、心のリセット効果は大きい。
お疲れタイプ別呼吸メソッド
疲れのパターンに合わせて、呼吸を意識してカラダを動かそう。回数は無理のない程度で留めてOKです。
沈んだ気持ちから抜け出せないときは、全身に力を入れ、気分転換のスイッチをオンに。緊張によるこわばりでなく、前向きな力の込め方をすることで気分が切り替わる。最後は伸びをして、気持ちまで明るく。
イライラしているときのカラダは、前のめりの姿勢になっている。そんなときは、背中を壁につけて、ニュートラルな姿勢を思い出させよう。心のざわつきが静まる上に、自身の前のめり具合を実感する機会にもなる。
「自分の足でしっかり歩いている」というカラダの実感があれば、不安は解消されるもの。ゆっくりした呼吸とともに、カラダの重みを感じながら1歩ずつ踏み締めるように足を運ぼう。自分への信頼感を取り戻せる。
この人に聞きました
セラ・ラボ代表。理学療法士。群馬パース大学客員教授。昭和大学藤が丘リハビリテーション病院、横浜ベイスターズフィジカルコーチを経て、ココロとカラダのコンディショニングルーム セラ・ラボを開院。心と体を両面からケアし、健やかな生活を送るアドバイスを行う。
(ライター 西門和美 イラスト 小松容子)
[日経WOMAN2015年3月号の記事を基に再構成]
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
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