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撮影現場で真田広之が見た、米国ドラマの勢い

海外ドラマはやめられない!~今 祥枝

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NIKKEI STYLE

米国の映画に続き、マシ・オカや田村英里子ら、テレビドラマにも日本人が出演する例が少しずつ増えています。その筆頭で存在感を発揮し、パイオニアとして道を切り開いているのが真田広之です。

2本の大ヒットシリーズへのゲスト出演を経て、2014年には日本生まれ、日本育ちの日本人としては初めて、話題の新番組に1シーズン、メインキャストの1人としてレギュラーで出演を果たしました。さらに同年、スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮、オスカー女優ハリー・ベリーが主演するSFミステリー『エクスタント』に、黒幕として重要な部分を担うヒデキ・ヤスモト役で出演と、快挙が続いています。

『エクスタント』は米3大ネットワークのCBSが夏の目玉として放送した大作です。先日、そのプロモーションのために帰国した真田さんにインタビューしました。

「ゲスト出演とレギュラー出演の差はあります。日本で生まれ育って、向こうでレギュラー出演を果たした日本人は初めてだね、という言われ方はよくされました」(真田さん)

そもそも米国のドラマで、アジア人の役の需要は多くはありません。さらに日本人の役があっても、英語がネイティブである現地の日系人俳優やアジア系の俳優が演じることがほとんどなので、彼のレギュラー出演は快挙といえます。

世界市場を相手にした番組

では、基本的に映画に軸足を置いている彼が、なぜテレビにも進出する決意をしたのでしょうか。

「5~6年前から、ハリウッド映画とテレビはスタッフもキャストもクロスオーバーという時代が来ていると言われていて、それで僕もテレビにトライしようと。結果、さらにボーダーレス化は進み、注目度としてはテレビのほうが主流と思えるほどになっています。世界市場を相手にしたテレビ番組は予算もかかっているし、クオリティーとしても映画にひけをとらないと実感しています」(真田さん)

さらに、「僕がチャンスを生かして期待に応えて、アメリカのスタッフに日本人は使える、と思ってもらえたら、日本人俳優が海外の作品に出演しやすくなる土壌作りにもなるのではないかと思いました」と真田さんは言います。

実は本作では、ロサンザルスを拠点とする日本人俳優の尾崎英二郎がオーディションを勝ち抜き、第11話でヤスモトの部下を演じて、全米ネットワークで日本人俳優同士が会話を交わすシーンが実現しました。また、現在放送中の『ARROW/アロー』のシーズン3では、映画『ウルヴァリン:SAMURAI』で真田と共演した福島リラがゲスト出演しています。

「自分の中では、映像作りに国境はないと思っています。本格的にそういう時代にしたいですね」と結んだ真田さん。必ずそうした時代が来ることを心待ちにしつつ、これからも海外で活躍する日本人俳優を応援したいと思います。

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●今月のオススメドラマ

『レイ・ドノヴァン』

セレブのトラブルを解決する辣腕フィクサー

ハリウッドを舞台に、セレブのトラブルを手際よく収めていくレイ。仕事はハードだが、妻アビーと2人の子供のいる家庭が心のよりどころだ。同時に、元プロボクサーでボクシング・ジムを経営する兄テリーと、問題児の弟バンチーをいつも気にかけている。だが、父ミッキーが刑務所から仮出所し、20年ぶりに家族の前に姿を現したことから、父親との確執と家族が抱える秘密が、レイの人生に暗い影を落としていく。

ハードボイルドタッチの渇いた作風に、明るいカリフォルニアの陽光との対比が効いた陰影のある映像世界は、まさに映画を見るかのよう。トニー賞に輝く主演のリーヴ・シュレイバーと、アクの強いミッキーを怪演するオスカー俳優ジョン・ヴォイトの白熱の演技合戦も大きな見どころだ。

放送局は、『デクスター』などヒット作を多く抱えるケーブル局Showtime。2013年よりシーズン1全12話が放送され、ヴォイトがゴールデン・グローブ賞を受賞するなど高い評価を受けた。2015年、シーズン3が放送予定だ。

今祥枝(いま・さちえ)
 映画&海外ドラマライター。女性誌、情報誌、ウェブ等に映画評やインタビュー等を寄稿。「BAILA バイラ」「eclat エクラ」「日経エンタテインメント!」映画サイト「シネマトゥデイ」などに連載中。著書に『海外ドラマ10年史』(日経BP社)。

[日経エンタテインメント! 2015年5月号の記事を基に再構成]

日経エンタテインメント!海外ドラマSpecial2015[夏]号 (日経BPムック)

編集:日経エンタテインメント!
出版:日経BP社
価格:1,080円(税込み)

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